Saturday, August 12, 2006

 

材料が届く

今日は待ちに待った船材がここタウランガの港に届く日なのだ。
何故かこの日が来るまで凄い日が過ぎたように思われる。カタマランを造る決心をした時どんな材料で船を造るのか?と考え出し、
限られた財政と経験で何が出来るのか、と 自分の持ち駒を眺める。

この時点ではもう悩む事など考えずに自分が出来る限りカタマランを造ると想定して前に進むことに決める。
先ず手短にある物を眺め古代から作られてきた舟を改めて考えてみる。古代人は船を作る金などきっと持ち合わせていなかったはずだ、
こんな事を考えると何故か少しほっとする。「どうだその辺に生えている草で船はつくれないか?」 「草を切り取り干し草にしてそれを粘土で固める」

これじゃ~壁土ではないか、水に浮かべると解けてなくなってしまう。南米では葦で作った船があるではないか。それでは庭にあるフラックスの繊維をレ

ジンで固めればどうだ、これなら手間は掛かるが元手は余りいらないのでは?こんな事を毎日考える。

船を造ることを実際に考える時、軽さと強さの両立が一番の問題となってくる。これに資金であり、その次に場所である。
労働は自分でやるとして残りの問題を解決してゆかなければいけない。
言うのは簡単だがやるとなったら大変な事である。ヤルと決めた以上やらなければいけない。

現代文明の恩恵であるインターネットでヒントを捜し求める。
先ず飛行機の技術を調べる、空を飛ぶ限り軽くて強いと言う船と同じ条件が求められるはずだ。調べてゆく内に空と海の違いを考えざるを得なくなっ

てくる。それは海水と空気の違いであり海水は総ての物を自然に戻す力があると言う事である。

その海水でも少しばかり時間は掛かるが良い材料を見つけ出し船を作れば良いのではと考える。
条件を考えてみれば、
1、軽くて強いこと
2、海水に侵されないこと。海水には陸上から流れてきたすべてのものが含まれており、量的には多い少ないは有るが広くて美しく綺麗な海でさえも

汚れているのが現実であり、海水に含まれている薬品などに船材が犯されてしまうのである。
3、経済的であること、幾らでも金を出せる身分でない私の場合、資金の関係で知恵を絞る以外に道はなく何とか考え出す以外に道はない。
4、場所である、先ずはこのいま住んでいる家を売りに出し資金を作ろうとしたのだが、安くで売らない限り家は売れないと悟り自分の敷地で造ろうと

考える。条件としては恵まれてはいないがやるしか道はない。

こんなことを考えながら、インターネットで材料探しをする。
何かの拍子で模型飛行機を作っているサイトに当たる。模型飛行機と言えども飛行機である。飛行機としての条件が揃っていなければ空を飛ばな

い。その模型飛行機の材料に目を付ける。
この材料の持つ性質を調べてゆく内に船にも使えるのではないか?と希望がわいてくる。

経済的にも可能であり、自動車産業に盛んに使われ始めている事もわかり、「これはひょっとしたらイケル」
早速サンプルを求め探し始める。原材料を生産する会社を見つけ出し問い合わせをするが、自動車会社と取引をしているような所が、簡単に個人

の私とはなかなかまともに取り合ってくれないのが現状で、くじけずに各方面に問い合わせをする。

この材料が良いといっても総てが良いのではなく、太陽光線に弱いこと(これは総てのプラスチィックにいえる)低温に弱く、接着が難しそうだという点で

ある。この材料は最近盛んに使われ始めたのでまだ情報に秘密が多く、インターネットで情報を探すのが難しく自分で実験するしか道はない。

何とか、シンガポールの生産会社を紹介され、600枚なら作ってくれるところまで行き着く。
私にとっては冒険のようなものでありこの材料が本当に使えるのか?確信がもてないまま注文する事にする。
注文してもなおこの材料の使い方を探し求めるが、新しい材料と言うのは当たり前の事で歴史がなく、情報も少ない。

アメリカでこの材料を使い蜂の巣状に仕上げ船を作っている会社を見つける。
「これだ~」「やった~」とその会社に問い合わせるが又なしのつぶて。とにかく船が造れる可能性が出てきた。

こんな日々を5月から過し今日やっと船が港に着き、この材料が届く。
今度は税関の手続きやマフ(検疫)の手続きをする。何処のお役人も形式にはうるさく何回も足を運ぶ。ここまで来て、
荷物を受け取っても良いと許可が降りる。しかしまだ総ては終わってはおらず港に着いた荷物を家まで運ばなければいけない。

軽いプラスチックだから自分で家まで運ぼうと考える。これが簡単には行かない。
荷物はコンテナーに入っておりコンテナーを船から降ろしてはくれるがそこでは荷物を取る事が出来ない。
テロの多い今日この頃、パスポートを見せないと港には入れず、港に降ろされたコンテナーは数百メーターの場所まで運ばなければ中の荷物を受け

取る事が出来ないとわかる。

そこでコンテナーをその場所に運んでもらう為に頼みに行くが、数百メーター運ぶのにこちらの金で二万円近く取られる。
「え~~」なんでそんなに高いの、足元を見られているのだろうか?
確かに輸入をしている と考えるとたいした金額ではないが、自分で取りに行くと考える時生活費と混同してしまう。

ガソリン代が高くなったと悩んでいる時代に数百メーターが二万円と言われるとなんてガソリン代が安いのだろうと錯覚してしまう。
お金の価値とは?確かに今考えているヨットなど造らなければ安くて済むのだが、こんな生活に必要もないヨット造りを始めるから金に羽が生えた様

に飛んで行くというのはこのことである。

でもこのくらいのことではまだ諦めないぞ~~と気を取り戻す。
材料が届いたならば、先ずはディンギー(テンダー)を作ってみようと考えており完成したら水に浮かべ乗ってみようと二人で話している所である。

そこで女房がからかう。沈んだらどうするの?寒くても泳げば良いじゃ~ないかと答える。

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