Wednesday, October 28, 2009

 

浮かぶ家

ニュージーランドは春になったと浮かれていたら又雪や雨の降り続く寒い冬に逆戻りしました。
暖かくなったのでペイントをし始めようと喜んでいたのに、湿度が高くペイントには不向きな天候のため仕方なく下手なテニスなどやって過ごしています。

腎臓移植のため体力を養っていなければならないため、カタマラン造りのため止めていたテニスですが「手術後の体力回復のためにも運動をしておいたほうがいい」とドクターに言われているので雨が少々降ってもコートで走り回っています。

経済的な問題から自分の敷地でカタマランを造っていますので屋根がなく、雨が降るとペイントのような仕事はとても出来ません。
しかし、急ぐ旅ではないのでのんびり天候が良くなるのを待っています。

ヨット乗りたちが安全にセーリングするために一番良いのが良い天候を待つことです。そこでよく質問されることのひとつですが、「セーリング中は夜どこで寝るのですか?」ですが、
大洋に一旦出ると夜になっても海の上です。普通の天気ならばそのまま走り続け交代で船など来ないか?と見張ります。めったに船などにめぐり合わない大洋の中で見張り続けることは大変眠いことです。
しかし見張りはセーリングの中では一番大事なことです。しかし眠いのでたいがいは居眠りしているのが普通です。

時々目を覚まし周りを見渡し異常のないことを確かめ、船が目的の方向に走っていることを確かめては又居眠りを始めます。交代時間は4時間づつです。
天気が荒れてくるとヒーブツーといって船を風の吹く方向に向け、セールを小さくして舵を一杯に切って船を少し進めるが、吹く風に押されてそこに立ち止まるような速度で少し横流れさせます。

このバランスが重要なのですが、そのときの風の強さによります。この時点で船はほとんど海上で止まった状態になります。モノハル艇の場合少し揺れますがまだ小さくセールがあがっているので船の揺れは多少弱まりますので意外と居心地が良くなります。しかし居心地がいいといっても船ですので揺れてはいます。が、しばらくセーリングに慣れますと耐えられるぐらいの揺れです。

ベテランセーラー達は「天候が荒れてきたらすぐに船を止めて寝てしまうのだ」とよく聞きます。荒れた海を無理に走り船を壊すほうが結果的に遅くなるし海上での修理が大変だからです。
ですからこの「海の上で船を止め寝る」テクニックは大変重要になってきます。
カタマランの場合船が軽いこととキールがないのでセールをすべておろすと(ライングハル)かなりの距離を流されてしまいますので(1日200マイル)シーアンカーを流し船を止めるほうが良いと思います。

この時カタマランでは「かなり居心地がいい、料理も不便なく出来大きな波を眺めながら日光浴が出来た」と聞いたことがあります。

夏など天気の良い時期小さな島に行きますと多くの船が停泊しているのでアンカー場所がなく、島の外に出て少し離れ小さくセールをあげて交代で見張り海の上で寝てしまう。なかなか気持ちの良いものですよ!。
広い海の真ん中で寝るというのは日ごろの制約から逃れ自由を満喫して自分の世界を持ったような気持ちのいいものです。一度体験してみてください。

海の上で寝るとき小さな明かりをつけておくと、飛び魚、イカが船に飛び込んできます、それを拾って朝ご飯のおかずにするのです。綺麗な海水が船の周りにありますので腹を割き海水で洗い焼いて食べるのです。美味いですよ。
朝になり昨夜の込み合った島のほうを眺めますとかすかに見える程度の大きさになっておりたぶん5マイルぐらい流されていると思われます。

改めてエンジンを掛け島に向かえばいいのです。海は広いのです。そして新しい1日が始まります。

海で寝ることに慣れると陸でしか寝られないと思っていた感覚が変わり、自分の世界が変わり、今までの考えが海のように広くなることを請合います。試してください。

Tuesday, October 13, 2009

 

私の理想のカタマラン




カタマランを造って行く時毎日のように考えることは「もし この船が嵐にあったら 嵐の海をどう乗り越えるのか?」と言うことです。私は今の健康の問題もありますが、もしこのカタマランが完成したら、まずシェークダウンとしてニュージーランドコーストをセーリングしてこの船に慣れ、翌年にはアラスカを目指してセーリングしたいと思っています。

ただ観光して周る旅はもうしたいとも思いませんので、行く先々で釣りをしながらセーリングをして老後の時間を過ごす。こう考えています。

そこで、大洋を航海することを考えこのカタマランは前部に窓をつけていません。大洋では大波に打たれる可能性も出てきます。私の経験では12メートルぐらいの大波が後ろから毎日押し寄せてきました。
そのときはモノハルでセーリングしていましたので、後ろからの波がヨットにかぶらないように又前の波につっ込まないようにヨットのスピードを調整しながら走ったのです。1度だけ大波を食らってしまいました。

コックピットはプールと変わり海水と泡だらけでした。津波のように引き波に体を持っていかれないようにコックピット内にロープを張り巡らしそれにハーネスを掛けてつかまっていたのです。
操船はウインドベーンがやってくれますのでセールを小さくして波を丁寧に超えてゆきます。少し波の斜め方向に下って行き波の抵抗を出来る限り避けるように走りました。

斜めに走ると目的の方向からだんだんと外れてゆきますが、2日ぐらい同じ方向に向かいそして方向転換をして又2日ぐらい反対方向に走ります。このとき方向転換をするのがとても難しいのですが、テクニック的にはサーファーが波の途中でターンするように波を上りきるチョット手前で思い切ってターンするのです。勇気が要りますが思い切ってやるしかありません。

ここニュージーランドからアラスカに向かい出発すると考えますと、以前我々が向かったタヒチの方角へ行くと考えます。タヒチの手前あたりでハワイの方向に向かいハワイでいったんストップオーバーして、カナダのバンクーバーに向かいカナダの西海岸沿いにアラスカに向かう。
このコーストでたぶん荒れるのはニュージーランドからタヒチに向かう時だろうと想像します。

前回はセキスタントを使って行きましたが、今度はGPSとコンピューターにプロットし天候を読みながら行くので比較的簡単に行くことができると思います。しかし、もしも、嵐にあったらと考えて見ますと、今回のカタマランはドジャーを大きく作りましたので、セールをすべておろしてもかなり走ります。嵐になれば方向転換して風に船を立て、風上側にパラシュートアンカーを流します。なぜならば船が風により風下に流されますからパラシュートアンカーを風下に流すと船に絡まってしまうのです。

前に向いたカタマランは大波を受けない程度にロープを出して波間に漂います。嵐は2日も我慢すれば通り過ぎるものです。その時もしも大波を前面に食らった場合窓があると壊れる可能性があります。以前、カタマランの大きな窓が波で壊された記事を見ました。モノハルでも同じです。最近の船では窓が大きくなってきて波に壊されることが多くなってきました。
そして窓が大きいと熱帯でセーリングするにはあまりにも熱すぎます。

セーリング中は、見張りが一番の仕事で窓から見張ることも出来ますが、もしもコンテナーが海上に落ちていても見つけることが出来ずにぶつかってしまうかもしれない。最近のセーリングではコンテナーにぶつかる船が多くなっています。

こんなことを考えて我々のカタマランは前部に窓がありません。その分船の重量が減りました。
前にも書きましたが、一昔前のセーリングと違い今のセーリングは計器でポジションと天候を読み、荒天をかわしながらセーリングする時代なので、荒天から逃げれる速い船が安全となってきます。嵐を天気図で見つけると20ノットぐらいで?移動してきますので嵐のコースを見張りながら嵐の来ない方向に逃げるのがコツと思われます。そのためにも軽くて速いカタマランは有利となるのです。

それから最近外洋セーラーの悩みは嵐の海より風のない海です。外洋セーリングしてみると良くわかると思いますが、長期のセーリングはコーストのセーリングより装備と食料、燃料などで1,5トンぐらいは重くなっており普段よりもっと走りません。このとき風がない海に行きますとこの広い大洋をいくら機走してもどこにも着くものではなく、燃料がなくなってゆくだけです。

これも私の経験ですが、南太平洋からニュージーランドに帰ってくるとき高気圧の真ん中に入ってしまい、タスマン海の大きなうねりの中2日ばかり機走しました。そしてセキスタントで位置を測るのですがどうも位置が予測より違います。
計算違いかな~?と何度も計るのですが答えが出ません。周りは海ばかりの中自分のデッドレコニングとセキスタントの計算、どちらが正しくてどちらが間違っているのか?図りとなるものがなく困ってしまいました。

そんな時遠くに一艇のヨットが見えたのです。VHFでその船に問いかけてみました。反応がありました。彼らはサテナビを持っており今のポジションを教えてくれました。「セキスタントの計算はあっていたのです」我々は2日間機走したのにタスマン海の大きなうねりに押し戻され以前よりも後ろのポジションにいたのです。これは大変経験になりました。その後このうねりを避けて2日ほど東に方向を変えニュージーランドに無事着いたのです。

アメリカのセーラーが多くいるのですが、アメリカを出航してニュージーランド沖まで比較的簡単なセーリングが出来るのですが、ニュージーランド沖に来ると多くのセーラーが嵐にあうことが一般的です。ニュージーランドから10度位北が一番天候が変わりやすくここをうまく抜けると後は天国のようなセーリングが出来るのです。

このような経験とニュージーランドコーストの経験、他のヨット乗りからの情報を元に今度セーリングするときの船をどう考えるか?と今のカタマランを造っているのです。

Thursday, October 01, 2009

 

カタマラン、軽さに挑戦



ヨットのペイント

ニュージーランドは春になり花が咲き乱れています。

この暖かさを利用してカタマランにペイントをしようとしています。しかし春のお湿りが多くなかなかカラッとした天気がなく、ペイントのタイミングを待っているのです。
カタマランをペイントすると言っても面積が多く、大量のペイントが必要です。

ペイントをする目的は船体を太陽光線から守ることと、カタマランをより美しく見せる。これらが大きな目的だと思います。
どんなペイントを使えばよいのかと言いますと、ツーポットタイプのポリウレシンペイント(日本ではポリウレタンと呼ぶ)が一番良いと言われています。しかし大きなカタマランにプライマー、アンダーコート、トップコート、三種類のペイントを塗りますと非常に高くつく。100万円以上掛かってしまうので、何とか安くペイントが出来ないものか?と、ネットで探してみるとよほど儲け商品と見えてなかなかペイントの秘密を見つけることが出来ない。

ポリウレシン自体は中国から買うと大変安いものなのにペイントになってしまうと大変高い。
本来ペイントとはレジンに顔料が混ぜてあるものでこれを溶剤で溶かす。これだけなのになぜこんなに高いのだ~キット儲けすぎだと思う。
それに今は環境問題でやたらにポリウレシンペイントを吹くことが出来ない。

このペイントをスプレーで吹くと溶剤が大気中に広がり環境汚染となるためニュージーランドでは野外でのペイントを禁止している。何とか成らないものか?

ポリウレシンペイントは最近のペイントでレジン自体に光を持っており美しく見え現代の製品に多用されています。現にこのブログを書いているPCもポリウレシンで光っています。
このポリウレシンを塗ると表面が光り硬くなりペイントが長持ちすると言う長所があります。しかし高くつくのが欠点です。

以前は一般にエナメルペイントが使われていました。このペイントとポリウレシンペイントの間に,ワンポットタイプのヨットペイントがありますが、これはヨット仲間の意見によりますと、少しエナメルペイントより品質が良いだけと言われています。
そこで私は車のペイントのテクニックを利用して、エナメルペイントを塗り、その上にポリウレシンペイントのクリヤーを塗ればいいのではないか?と考えていますが、問題はエナメルペイントを焼付けする設備がないこととエナメルとポリウレシンでは溶剤が違い、その溶剤がエナメルペイントをアタックするかもしれない。

とにかくこのようにハウス用のペイントを利用すると10分の1から20分の1ぐらいのコストで出来る。これは大変に助かる。

しかしペイントのもちが悪いと言う欠点があるが、自分でペイントをするのだから又時期が来たら少し磨いて上からペイントすれば見栄えが良くなる。

ペイントの見栄えについて語ると、90%ぐらいは下地を綺麗に仕上げることである。ミクロンの世界ででこぼこをスムーズにしなければならないので、手造りヨットでは不可能に近いことである。
一般には型を作りレジンを流し込むとレジンが固まり表面が美しく仕上がるが、手作りではいくら熟練しても限界がある。「言い訳ッポイけれども」

他にはツルットした表面の材料を使い船を造る。この場合仕上げが比較的美しく仕上がりペイントが楽であるが、船が重たくなるのが欠点で走らない船となってしまう。
私の夢である「微風で風よりも速く走る」こんなカタマランを造るには軽い材料で造るしか道はない。したがって、手造りの船だと言い訳して2メーター~3メーターぐらい離れて見てもらいこの距離から美しく見える程度の仕上げを目標にしています。

ニュージーランドには多くの船が手作りで作られています。しかし予算の問題から手短に買えるマリンプライウッドを使うため出来上がってみると重たく走らない船を多く見かけます。
私の目標の一つは軽い船を造って見る事です。なぜ軽い船がいいのか?と言いますと、重くなると船底が沈み海中抵抗が大きくなる。このためリグを大きくして走らすため、セールが大きくなり、人手が必要になりとすべてが重たくなり悪循環となる。などなどと、船を造っていく間にどんどん重くなり出来上がったころには重たくて走らない船となってしまうのです。
だから軽く強く、経済的に船を造ることがいかに難しいか。これに私は挑戦しているのです。

5ノットの風のとき8ノットのスピードで走り、10ノットの風のとき15ノットで走るような船を目標にしています。「夢がかなうといいですね~」
セーリングに慣れると天気を読むことがうまくなってくるのが一般的です、ですからやたら天気の良い日にセーリングに出かけるため風がなく仕方がないのでエンジンで走る。これが現実のセーリングのようです。こんなときでも走る船がほしい。
今までセーリングを20年して来て風のない日にスーッと走っている軽いレーサーを何とうらやましく思ったことでしょう。こんなヨットに居住性を備えた船カタマランを造っているのです。目標最高スピード20ノット、30ノットでは速すぎる。

このようなカタマランなのでペイントは遠くから見て美しければいいのではないか?と言い訳がましく思うのです。

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