Tuesday, August 29, 2006

 

言い訳の多いディンギー

言い訳の多いディンギー

船材が届き先ずこれの性能を試すと言うか?この材料をどのように料理しようかと考える。
目の前に山と積まれた材料を見て思う事は、軽くて素晴らしい素材だと感じるのだが、初めてめぐり合ったもの同士が共に栄える事が出来るのか?

それでは先ず、ディンギーを作って見ようではないかと女房と相談する。しかし、ただディンギーを作るのではなく目的のカタマラン造りに役に立つ作り方をしようではないかと話し合う。
ディンギーとは、本船から陸に渡るときに使う小船であり島の近くなどで乗って遊ぶ事もある。
我々の場合は、朝まずめや夕まずめなどに本船から岩場に乗りつけ釣りが出来るような小船を作ろうと意見が合う。

しかし小船を作る時、ファイバーグラスは重くなる問題がある。そんな事は覚悟の上でどれだけ軽く作れるか?どのぐらい強度が出せるものか?
強度を重視すると必ず反作用的に重くなってくるものである。実際に作り始めた時に 「これは軽い」 と言い、「小指でも持てるよ」と言っていた。

小船に補強の為にグラスファイバーを張りレジンで固め始めると極端に重たくなってきた。

体感と言うのか?今まで軽い軽いと喜んでいた小船が急に重たく感じ出した。風が吹くとどこかに飛んでいってしまいそうな小船が女房の心配をよそに急に重たくなり少しぐらいの風が吹いても飛んで行きそうにもなくなってきた。

そこで原因を探す。グラスを貼り付ける時に材料がレジンを吸い込み重たくなったと思われる。直接グラスを材料に貼り付けた為中々グラスが濡れずに上手く材料となじまず接着しなかった。そのためこれでもか、これでもかとレジンを塗ったためだんだんと重たくなってきたのだ。

これの解決策を実験してみると、ゴム糊を材料同士の両面に塗りつけグラスを接着しておきその上からレジンを塗りつけると簡単に濡れグラスも動かず、塗った後も上手く張り付き出来上がりも綺麗なことが分かる。本船にはこの方法を使おうと思っている。

材料の切り方も初めは慣れていずまたそんなに道具があるわけではなく、カッターナイフで切った為ひん曲がってしまいそのゆがみを埋めたりしているうちに少しずつ重たくなってしまったのも原因である。お陰で少しひん曲がってしまい女房が 「これ何とか直らないの」 と言うのを 「水に浮かんだときに座れば真直ぐになるよ」などと言い訳をして実験する。

カタマランを造る目的で買った材料なのでこの船が重たくなる事はカタマラン造りにおいて致命傷である。
多くの自作艇は出来上がった結果、重たくなってしまうと言うことに成っている。これでは速く走らない船になりカタマランの良さが半分消えてしまった事になる。

私が目指すカタマランは重量3トンでありこれを目標としている。一般に目標のサイズのカタマランでは7トンぐらいが一般的であり、この重さに挑戦して軽く造るのを一つの目標としている。しかしあくまで強度を保ちつつ軽さを求める、口で言うのは簡単だがこれは大変難しい事であり資金があり高級な材料をふんだんに使えるのならば別だが、限られた予算で軽い船を作るという事はかなり大変な事である。

大変なことにチャレンジする面白さと言うのもあるように、私が考える今回手に入れた材料は比較的新しい素材であり空気のように軽い
プラスチィックなのである。私は絶対可能性があると思い大量に買ったのだがまだこれをどのように料理すれば良いのか試している所である。

なんにでも初めと言うものが有り上手く行くと後では認められるものであるが、初めにやると言う喜び、これは一つの挑戦と言うか?
遊びと言うか?とにかく何の問題もなく生きているだけの幸せな今の時代では、刺激となり生活に変化を与える事柄ではないか?と思っている。

少し話が変ってきましたが、とにかく曲がり成りにも小船は出来上がってきて最後のペイントを残すところまでやってきました。「曲がり成り」とはよく言ったもので本当に少し曲がっているのです。仕上げも綺麗では有りません、でも乗れそうなのです。
仕上げを綺麗にする事はできるのですが、例の重たくなると言うことになり性能が落ちるのです。

この小船ではその他にもいろいろと試しているため美しさに欠ける点があります。例えば、グラスを二枚重ねるとどのような仕上げ方になるか?
材料を繋ぎ合わせたところはどのぐらい強度が落ちるものなのか? グラスの種類が違うとどのように出来上がりが違うものなのか?
強度は?レジンの入り方は?
グラスが濡れたときにはどのように伸びるものか?乾いた時はどのぐらい縮むものか?などなど・・・・・・

小船を作ってみただけでこの材料が使える可能性が見えてきたように思われる。この小船を完成させ水に浮かべて見る日が楽しみである。

Saturday, August 19, 2006

 

事件が起きた

事件が起きた

船材を港に取りに行く日が来た。
貨物船から降ろされた荷物は一旦港の隅っこに運んでもらいそれをトレーラーで引取りに行く。
船材は2センチ厚さのマットのようなプラスチィックと想像してもらえば良いと思います。とにかく軽く少しの風でも舞っていってしまう。

当日は風もなく静かな天候に恵まれて運びやすかったのですが、時々微風が来ると担いだマットが何度か飛ばされせっかく雪のように白いマットが地

面に落ち汚れる。それを手で払ってはトレーラーに積み込む。
頼んだ枚数は600枚、しかし自分の中で想像していたより現実には体積があり簡単に軽いものだから運べると思っていた目算が狂う。

上手くすれば一回で運べるかな~とも思っていたのだが3回は掛かるとなりせっせと「蟻さん 蟻さん」と女房と運ぶ。

二回目を運び込み又港に向かう途中で家から3キロぐらい離れた道端に見慣れない若い男達が三人ぐらいたむろしており、石か何かを牧場に投げている。天気の良い晴れた午後に若い男達がたむろしている姿を見て何か嫌な予感がする。

三回目をトレーラーに積み込みやっと終わったと家路に向かう時、先ほど若い男達がたむろしていた所にパトカーや救急車のようなバンが止まっており
ほらさっきの男達が何か悪い事をしたのだと車の中で想像する。

その地点からコーナーを曲がった先500メーターぐらいのところに又パトカーが警報灯をくるくると回し止っている。
ほら何かあったぞと思いつつ車を走らす。もう500メーターぐらい走らすと今度はパトカーを盾にしてアームディフェンダーと呼ばれる黒装束のポリスが各自ライフルを持ちたむろしている。

これはひょっとしたら大事件かもしれないぞ~と、まるで映画のシーンのようで少し興奮するが実感としては分からない。

ニュージーランドでは一般のおまわりは拳銃を腰にぶら下げては居らず、ペッパースプレイと警棒ぐらいを腰につけている。
一旦犯罪が起こると危険防止のため拳銃を持つのだが、凶悪犯の場合は黒装束のアームディフェンダーがお出ましになり、犯人を捕まえるのだがまだ抵抗する脅迫犯にはお構いナシに撃ち殺す。

テレビで時々映りだされるのだがこれが現実に目の前で起こっている。言いたくはない事ですが今ニュージーランドは世界ではアメリカに次いで二番目の犯罪国となっています。これも実感としては感じられないのですが、刑務所は満杯で入るところは無く軽い犯罪は短い刑で出獄させ出獄者は又犯罪を起こす悪循環が起こっている。

こんな人口の少ない国で犯罪が多く捕まっては刑務所と言う学校で仲間同士教育をして又犯罪を起こす。

とにかくこのライフルを構えているポリスの前を車で 「チョッと前をすみません」 と言った感じで船材を一杯積んだトレーラーで通り過ぎる。
別に道路封鎖をしているわけでもなく何か変だといった感じで通り過ぎる。

家にたどり着きまたせっせと船材を降ろしていると何か拡声器で呼びかける声が聞こえる。私の家は静かな町の近くにある田舎と言ったような場所にあり昼間は2キロ先で呼びかける拡声器の声が聞こえる。何を言っているのかははっきりとは聞こえないのだが、テレビや映画のシーンで想像できるような犯人に対して呼びかけているのだ。

その直後パンパンと銃声が聞こえる 「アッ! 撃ったんだ 」 何んて思いながら又セッセセッセと船材を降ろす。我々としては本当に撃ち合いが起こっていてもテレビや映画のシーンのようでまだ実感としては感じない。

船材を運び終わりトレーラーをレンターカー屋に帰しに行く時、まだ打ち合いをやっている音がする。その前を車でゆっくりと通り 「取り込み中の所チョッと前を失例します」 とばかりライフルを構えている警官達の前を横切る。今撃つのはチョッと止めて頂戴、お願い、なんていう感じで前を通る。

通り過ぎる瞬間に打ち合いを覗き込む。小屋に犯人が隠れているかのようにそれを何人かのライフルを持った黒装束が取り囲み、小屋の前には二人の男が撃たれたと見え倒れている。私は運転をしており一人の倒れている男しか見えなかったのだが女房は二人倒れており一人の頭のはげた男は足をピクピクさせていたと言う、 「頭がはげており、怪我が無くてよかったね~」 何んてしゃれにもならない状態である。

道路の反対側には何人かのライフルを構えている黒装束がおり、その前を例により 「チョッと失礼します」。 通り過ぎる時もう少し見ていたい気持ちはアッタのだがそんな雰囲気には見えず、これは通りすぎた方が良いと感じトレーラーを返しに行く。

又その帰り、事件の前を通りすぎると今まで周りにあったパトカー何台かや多くの車が問題の家に集まっており事件がケリの着いたことが感じられる。

今晩はニュースで報道されるだろうと思い家に戻る。
その夜、テレビでは何も報道されず、ラジオでも何も例の事件は報道されない。いったい何があったのだろうか?未だに不明である。

きっと麻薬がらみの事件に違いないと想像するが、ヒョットしたら映画の撮影だったのか?いったいなんだったのか?
未だに原因が分からない。我々一般人というのはニュースで流されないと何も分からないものだと改めて感じる。反対に嘘や歪めて報道されればつい信じてしまうものだと思う。

いつかこの事件の事は誰かに聞いてみようと思っている。

Saturday, August 12, 2006

 

材料が届く

今日は待ちに待った船材がここタウランガの港に届く日なのだ。
何故かこの日が来るまで凄い日が過ぎたように思われる。カタマランを造る決心をした時どんな材料で船を造るのか?と考え出し、
限られた財政と経験で何が出来るのか、と 自分の持ち駒を眺める。

この時点ではもう悩む事など考えずに自分が出来る限りカタマランを造ると想定して前に進むことに決める。
先ず手短にある物を眺め古代から作られてきた舟を改めて考えてみる。古代人は船を作る金などきっと持ち合わせていなかったはずだ、
こんな事を考えると何故か少しほっとする。「どうだその辺に生えている草で船はつくれないか?」 「草を切り取り干し草にしてそれを粘土で固める」

これじゃ~壁土ではないか、水に浮かべると解けてなくなってしまう。南米では葦で作った船があるではないか。それでは庭にあるフラックスの繊維をレ

ジンで固めればどうだ、これなら手間は掛かるが元手は余りいらないのでは?こんな事を毎日考える。

船を造ることを実際に考える時、軽さと強さの両立が一番の問題となってくる。これに資金であり、その次に場所である。
労働は自分でやるとして残りの問題を解決してゆかなければいけない。
言うのは簡単だがやるとなったら大変な事である。ヤルと決めた以上やらなければいけない。

現代文明の恩恵であるインターネットでヒントを捜し求める。
先ず飛行機の技術を調べる、空を飛ぶ限り軽くて強いと言う船と同じ条件が求められるはずだ。調べてゆく内に空と海の違いを考えざるを得なくなっ

てくる。それは海水と空気の違いであり海水は総ての物を自然に戻す力があると言う事である。

その海水でも少しばかり時間は掛かるが良い材料を見つけ出し船を作れば良いのではと考える。
条件を考えてみれば、
1、軽くて強いこと
2、海水に侵されないこと。海水には陸上から流れてきたすべてのものが含まれており、量的には多い少ないは有るが広くて美しく綺麗な海でさえも

汚れているのが現実であり、海水に含まれている薬品などに船材が犯されてしまうのである。
3、経済的であること、幾らでも金を出せる身分でない私の場合、資金の関係で知恵を絞る以外に道はなく何とか考え出す以外に道はない。
4、場所である、先ずはこのいま住んでいる家を売りに出し資金を作ろうとしたのだが、安くで売らない限り家は売れないと悟り自分の敷地で造ろうと

考える。条件としては恵まれてはいないがやるしか道はない。

こんなことを考えながら、インターネットで材料探しをする。
何かの拍子で模型飛行機を作っているサイトに当たる。模型飛行機と言えども飛行機である。飛行機としての条件が揃っていなければ空を飛ばな

い。その模型飛行機の材料に目を付ける。
この材料の持つ性質を調べてゆく内に船にも使えるのではないか?と希望がわいてくる。

経済的にも可能であり、自動車産業に盛んに使われ始めている事もわかり、「これはひょっとしたらイケル」
早速サンプルを求め探し始める。原材料を生産する会社を見つけ出し問い合わせをするが、自動車会社と取引をしているような所が、簡単に個人

の私とはなかなかまともに取り合ってくれないのが現状で、くじけずに各方面に問い合わせをする。

この材料が良いといっても総てが良いのではなく、太陽光線に弱いこと(これは総てのプラスチィックにいえる)低温に弱く、接着が難しそうだという点で

ある。この材料は最近盛んに使われ始めたのでまだ情報に秘密が多く、インターネットで情報を探すのが難しく自分で実験するしか道はない。

何とか、シンガポールの生産会社を紹介され、600枚なら作ってくれるところまで行き着く。
私にとっては冒険のようなものでありこの材料が本当に使えるのか?確信がもてないまま注文する事にする。
注文してもなおこの材料の使い方を探し求めるが、新しい材料と言うのは当たり前の事で歴史がなく、情報も少ない。

アメリカでこの材料を使い蜂の巣状に仕上げ船を作っている会社を見つける。
「これだ~」「やった~」とその会社に問い合わせるが又なしのつぶて。とにかく船が造れる可能性が出てきた。

こんな日々を5月から過し今日やっと船が港に着き、この材料が届く。
今度は税関の手続きやマフ(検疫)の手続きをする。何処のお役人も形式にはうるさく何回も足を運ぶ。ここまで来て、
荷物を受け取っても良いと許可が降りる。しかしまだ総ては終わってはおらず港に着いた荷物を家まで運ばなければいけない。

軽いプラスチックだから自分で家まで運ぼうと考える。これが簡単には行かない。
荷物はコンテナーに入っておりコンテナーを船から降ろしてはくれるがそこでは荷物を取る事が出来ない。
テロの多い今日この頃、パスポートを見せないと港には入れず、港に降ろされたコンテナーは数百メーターの場所まで運ばなければ中の荷物を受け

取る事が出来ないとわかる。

そこでコンテナーをその場所に運んでもらう為に頼みに行くが、数百メーター運ぶのにこちらの金で二万円近く取られる。
「え~~」なんでそんなに高いの、足元を見られているのだろうか?
確かに輸入をしている と考えるとたいした金額ではないが、自分で取りに行くと考える時生活費と混同してしまう。

ガソリン代が高くなったと悩んでいる時代に数百メーターが二万円と言われるとなんてガソリン代が安いのだろうと錯覚してしまう。
お金の価値とは?確かに今考えているヨットなど造らなければ安くて済むのだが、こんな生活に必要もないヨット造りを始めるから金に羽が生えた様

に飛んで行くというのはこのことである。

でもこのくらいのことではまだ諦めないぞ~~と気を取り戻す。
材料が届いたならば、先ずはディンギー(テンダー)を作ってみようと考えており完成したら水に浮かべ乗ってみようと二人で話している所である。

そこで女房がからかう。沈んだらどうするの?寒くても泳げば良いじゃ~ないかと答える。

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