Friday, July 27, 2007

 

リタイヤ後のヨットライフ

リタイヤ後にノンビリと好天を見計らってセーリングをする為のクルージングカタマランのデザインを考えて見ます。

カタマランというヨットは重さに極端に反応して性能が落ちますので、軽くて強い構造が求められるのです。
軽くて強いまたは硬い材料は、今の時代沢山有りますが、高額となるためクルージングヨットに簡単に使うわけにはいかないのが現状です。

レースに勝つ為に金額に糸目をつけずヨットを造るなら別ですが、一般に用いる材料は一番多いのがポリエスターです。
ヨットといいますと構えてしまいそうですが、何処にでもあるフロ桶となんら変らないのです。フロ桶とヨットの違いはといいますと外側がつるっとしているのと内側がつるっとしているというところが大きな違いかもしれません。

多くのヨットは簡単に言いますとメス型にポリエスターを吹き込みファイバーグラスを埋め込み又ポリエスターを吹く。
これを何度か繰り返して厚みを増しそれを抜き出すとヨットの外形が出来る。この様なヨットが一番多いプロダクションボートと呼ばれています。

フロ桶はといいますとこのメス型がオス型になり厚さが薄いだけなのです。
この外形に内装や、エンジン、タンク、などなど作り付け、これにデッキとなる蓋をかぶせる。これにマストやウインチなどを取り付けヨットとなるのです。簡単に言うとこの様なものなのです。ただ値段が高いのでステータスとして使用する人達が多いところがフロ桶と違う所かもしれません。

ヨットの材料として使用される一般的なものとして、耐水ベニヤ板、これは一般的に手に入りやすく比較的に安価で加工しやすく、我々みたいな自作する人達に人気が有ります。
欠点としては、重たい事、無駄が多く出る事、水分を含みやすく長持ちしない事でしょう。

次に、鉄、これが材料としては一番安価です。適度に強く一般的に造られています。
欠点としては、さびる事、金属疲労、電蝕、重たいため50フィート以上の船でないと他の材料と比べて劣る。

アルミは、高価、大型船に向く。
欠点として電蝕の問題が大きい、メンテナンスが大変、高くつく。

木造、今は多くは造られていない。

バルサ、軽いが水分を含むため将来的に木造船と同じく腐ってくる。


FRP 一番造られている数が多い、比較的安価、長持ちがする、修理しやすい。
欠点としてポりエスターを使うのが一般的なので、表面加工しない限りオズモシスになりやすい。

フォームサンドイッチ、FRPの作り方と似ていますがFRPの間にフォームを挟む。大変軽く造れる。
一見柔らかそうなのだが、この柔らかさが衝撃に強く強度は同じ厚さのFRPと比べて8倍も強くなる。
欠点としてはディラミネートしやすい(これは接着面がはがれやすい事)。

などなどとそれぞれ欠点といい面が有りますが、私は軽さに引かれてフォームサンドイッチを選んだのです。
この材料に使うフォームは日本の会社を通してシンガポールの工場で作ってもらったフォームを使います、今のところ名前は秘密にしています。
少しぐらい秘密がないとこのブログを読む人の想像力が広がらないと思いますので。

このプラスチックフォームは水を含まないクローズドフォームできめの細かさは30Pです。
これをグラスとエポキシで固めて船体を作ってゆきます。
この時に一番費用が掛かるのが工場とオス型ですが、予算の関係でこれを出来るだけ省いているため問題が多く発生しているのです。

それでも何とか造ろうと頑張っているのが現状ですが、苦労しているのも現実です。

カタマランは一般的に細長いハルを二つ持ち、水を切るように走るのですが、私のデザインはクルージング艇ですので居住性を持たせるため少し膨らませてバウから流れる水が船体の半ばで少し膨れて、スターンで又細く抵抗無く流れるようなモノハル的な形状になっています。

各ハルには一本づつマストが立ちジャンクセールが付きます。

このカタマランのリグですが、少人数でセーリングすることを考えますと一番大変な事は突風が吹いた時のリーフだと思うのです。
カタマランというのはヒールしませんので瞬間に風を逃がしてやらないとリグを壊す可能性があります。ジャンクリグというのは強風が吹くとセールが勝手に変形して風を逃がすため大変安全なのです。

これに変るカタマランのリグとしては釣竿のようにマスト自体が曲がって風を逃がす方法と、エアロリグのようにマストとセールが一体となりマストが回転して風を逃がす方法が有りますが、ジャンクリグが一番シンプルで安価という事で決めました。

一回で総ては書けませんので又ぼちぼち書いてゆきます。

Thursday, July 19, 2007

 

リタイヤ後のヨットライフ

ニュージーランドは雨ばかりの今日この頃です。おまけにNZ$が高騰しており我々のヨット造りは、ただ今開店休業状態です。
雨が降り続いている時にヨットの事などを思い返してみますと、雨が降り続く中でのヨット生活は、狭いスペースですることも無く、湿度が高い船内でヤキモキしながら見飽きた本などを読み返すことぐらいしかなく、せめてもっと広いスペースがあればな~と思うのです。

それとヨットのクルージングを考えますと、外洋クルージングにおいては、コーストでのセーリングのようにヨットを目一杯ヒールさせてセーリングする事などしないのが普通です。
短時間のセーリングならばヒールさせて走るのは気持ちの良いものですが、長時間~何日もヒールさせた状態でセーリングする事は現実的には居心地が悪く不可能です。
そこで最低でも少し流した状態にして走ります。多くは出来るだけ傾かない状態に走り、少し遠回りしてもかまわないから楽な状態を選ぶのです。

どうせ何日も何日もセーリングを続ける外洋セーリングですので、少しばかりの距離が増えてもなんら変らないのです。
セールも目一杯上げる事は珍しく、よほど風が無い時かクルーが一杯いる時以外はセールを小さめにしてリグを傷めないように走ります。
もし外洋でリグを傷めてしまうと直せないことがあり誰も助けに来ないため、少しぐらい遅くてもリグをかばいながら走るのがクルージングの場合良い方法と思います。

セーリングにおいて一番大事な事は、安全に走ることであり、そのために必要な事は天気を読むことが総てです。
少し慣れてくるとクルージング程度の天気の読み方は慣れるものですが、どうしても高気圧の中に入ってしまいます。
これは天気が良い時や天気の良い方に向かうのでどうしても風のない時が多くなってしまうのです。

そこで結果的にはモーターリングに頼る事になります。
そこで私は思うのですが、風の弱い時に適当に気持ちよく走る船がほしい、天気の悪い時に居心地のよい船が欲しい。
こんなことから今度の船はカタマランと決めたのです。

そこで色々とカタマランを探したのですが、どれも高く今一自分が考えるカタマランが見付かりませんでした。
デザイナーにも相談したのですがやはり同じ理由で気に入りません。
こうなると自分でデザインするしかなく、自分で造るしかないという結果に追い詰められました。

先ずカタマランの良いところは、キールが無いため水中抵抗が少なくモノハルより速く走ることです。しかし我々の目的はクルージングですのでレーサーのように速く走る必要なく平均10ノットを目標にしています。一日に240マイル走る事が出来ます。
モノハルの場合一日100マイルから150マイルぐらいが一般的でしょう。

何故このぐらい走りたいか?と言いますと、低気圧というのは一時間15マイルから20マイルで地球の自転があるために西から東へ向かって移動します。低気圧は南半球の場合時計回りに回っていますから中緯度にある低気圧は弧を描いて南に下りてゆきます。
熱帯低気圧も同じ様な動きをします。
この場合まわりの高気圧の動きや強さ、大きさに左右されて低気圧の速度が決まってきます。高緯度では多くの低気圧が発生し、消えたり、中にはそのまま緯度の低い方に移動して来ます。

その低気圧に捕まらないように走るのが外洋セーリンのコツといえるのではないでしょうか。
荒天は2~3日前には予報で分かるのが一般的です。その荒天が自船にやって来る前にコースを変える事が出来るのはモノハルが二日で200マイル~300マイルとするとカタマランは500マイル以上荒天から離れることが出来ます。

毎日天気予報を見ていますと低気圧がどちらの方に移動しているか読めると思いますので、安全圏に逃げることが出来るのです。
机上論で言うのは簡単ですが、我々が初めてここニュージーランドのタウランガからセーリングしてタヒチに向かった時など、
簡単に荒天に捕まってしまいました。

その頃はセキスタントで天体を仰ぎ、空を見て天気を予想する昔ながらのセーリングでしたので、新米のセーラーでは直ぐに荒天の餌食になったのです。
仕方なくウインドベーンに操船を任し、ブロードリーチの方向に南に二日、今度は北に向けブロードリーチで2日逃げるといったセーリングをしたのです。その時一旦ローリング40まで下りてみたのですが、余りにも居心地が悪いので、その後はそれ以上は下りずにセーリングしました。

最初のランドホールまで結果的に26日かかりました。その間荒天は20日、静かだったのは6日だけでした。
後ろから襲い掛かる外洋の波は大きく、直ぐ後ろで崩れ、何時ヨットをバラバラにするのか?と恐れていましたが、波の少し前を走ると意外と波をかぶらないことが不思議だったのを覚えています。

それでも一度だけ大波をコックピットにかぶりコックピットがプールとなったものです。
こんな事もあり今度のカタマランは天候を読みながら荒天を避け安全に早く目的地に着ける船にしたいと思っています。

次のブログはカタマランのデザインについて書いてみようと思います。

Sunday, July 15, 2007

 

リタイヤ後のヨットライフ

ただ今、ニュージーランドは冬です。我々の住む地域も今年は大変寒く、雨が降り続いておりヨット造りの作業を遅らせています。

レジンが寒さのため固まってドロッとなり仕事にならないのです。仕方が無いので天気の良い日だけ太陽の当たるガレージでレジンを温めながらパーツを作っております。

毎日少し働くと気分的に楽になり、仕事が出来ないと何故か自分が怠けているような気分になってくるため、ヨット造りの仕事が何か出来ないか?雨の中でカッパを着て仕事は出来ないものか?などと考え、恨めしく空を見上げている毎日です。青空が欲しい!

ラジオやテレビで日本の台風の話しをやっていますが日本も大変ですね~。
ここニュージーランドの北部地方でも台風並みの雨と風が吹き荒れ、大きな被害がありました。

豪華客船のクルージングシップがこれに巻き込まれ大きな被害を負ったと報道されています。
世界的に気候の変化が速くなり大変な時代になってきました。しかし、この被害を考えて見ますと多くは人災的要因が絡んでいるように見えます。

海の世界の場合、出航時間が決まっていたり曜日に合わせ出かけたりと、海の基本が自然を読んで行うことから、自分達の生活に合わす様に変って来たためではないか?と思います。こんな事を考えながら自分が今造っている船のことに照らし合わせてみると自分の目的に合った又は合う船を選ぶことが大変重要ではないか?と思うのです。

ヨットの歴史を考えて見ますと、元は、ヨーロッパの気候の厳しい地域の人達?が略奪目当てで世界中セーリンがして周ったのが始まりのような気がします?。
そのために造られた重くて頑丈な船が何故か未だにヨットと思い込まれている。

私の考えている船は、ポリネシアンがカヌーを二艘継ぎ合わせ、長距離航海の為に居住性を持たしたのが始まりのカタマランという船です。

目的は、クルージングであり、リタイヤした年寄り夫婦がノンビリと世界を周れるような船を考えています。日常生活に必要な最低限度の品物や水、遊び道具、食料、クルージングに必要な船の道具などを積み込み、出来るだけ人手が要らないような船を考えているのです。

セーリング自体を考えて見ますと、今は昔と違い、自船の位置も10メーターぐらいの誤差でわかる時代で、天気も簡単に予報が入る時代です。
この便利性を利用しながら、高気圧の端っこをセーリングする。(高気圧の真中は風が無い)(低気圧内は風が強すぎる)
多くの航海機器を使った今の外洋レースのようなセーリングになると思うのです。

そのためにはある程度速い船が欲しいし、年寄り夫婦のため重たい船は色々と力を必要とするので軽い船が良い。
物や食料に溢れた今の生活から最低限の品物を選ぶとしてもどうしても多くなってしまうため、船内のスペースが取れる大きさが必要となってくる。外洋の波長を考えると安定性を求める為にはある程度の大きさがあった方が良い。(外洋クルージングに必要なものだけの重さは普段のセーリングより1~2トン重さが増す)。

ヨットを設計する段階で多くの船は、外洋セーリングに必要な荷物の重さが計算されてないのが一般的だと思う。
この重さが船の船速を遅くしたり強度を不足させる原因になるため、遭難が起こったりリグが壊れたりすることになると言うデーターもあります。

それと、長期に渡るセーリングとなるために出来る限り大きな生活空間が欲しい。クルージングというのはセーリングしている時間はわずかであり、ほとんどの時間は停泊しているといっても良いので、停泊している時に我が家と成るゆとりのある船が欲しい。

などなど欲望は尽きないものであるため、これらを総てある程度かなえることが出来る船を考えた時カタマランという答えになるのではないでしょうか?。
モノハル信仰の人には反論されるかもしれませんが、カタマラン信仰の私はこれを信じます。
と言っても今もっている船はモノハルなんです。金銭的な問題もタタあるので話しのようなわけにはなかなかいかないのが現実です。

もう一つの問題は、遭難****ソウナンデス。これは洒落です。どちらにしてもこんな事は避けたいことですが、仕方無く嵐に巻き込まれたとするとパラシュートアンカーを用いる事が今は一番良い方法ではないか?と考えています。
カタマランの場合はバウを波に向け船を流す。モノハルの場合はヒーブツーの角度で波に向かって30度ぐらいに流すと良いのではないか?と考えています。

これが出来ない時は、サーファーが波に乗って遊ぶようにヨットを走らすと大波でも乗り越える事が出来ます。想像すると恐ろしい事ですがサーファーのように一旦なれてしまうと結構楽しいものですよ。
恐怖を超えると波の大きさに感心して自然の偉大さに頭が下がり逆らう気持ちがなくなります。

しかし嵐のこないうちに早く逃れられる船が欲しいと思うのであります。

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