Sunday, January 28, 2007

 

エルニーニョ

エルニーニョ

今年のニュージーランドの気候は エルニーニョらしくて 西からの強い風が多く吹きまくっています。
しばらくの間風の心配をしなくてよかったのですが、その代わり雨が降り仕事が出来ずにいました。
その後天候がよくなり仕事がはかどったのですが、又今度も西からの強風に吹かれ我が作業小屋を直撃しました。

船体の外形が出来上がりつつあった事もあり風の被害を受けにくくなってはいたのですが、今回の強風はまともに作業小屋を襲い 「ドカン」と大きな音を立て、出来上がりつつあった船体を下から風が持ち上げ船体を半倒しにしてしまいました。
作業小屋も被害を受けこれを又直す事を今回は諦め、出来上がりつつあった船体を小屋から出して正常な船の形に起こすことにしたのです。

そして無事起こすことが出来た後、船体の内側にファイバーグラスを張り強度を増す事にしたのです。
この作業は以前から心配していたのですが、「二人の力でこの大きな船体をひっくり返す事が出来るのか?」
普通この時点での船体の重さは1トンから1トン半ぐらいですが、我々の船は、予想では360キロぐらいと思います。

船としては大変軽く出来満足していましたが、この時点で軽いと言う事はフニャフニャしていると言う事であり、これに内側からファイバーグラスを張る事によりしっかりとした船体になってくるのです。
中にファイバーグラスを張るという事は今以上に重くなると言う事ですので、二人の力でこれをひっくり返すと考えると大変な力が必要と予想して中を張らずにひっくり返す事を考えていた。

今回風により半ば倒された船体をこの際ひっくり返そうと試みたのですが、未だ風が強い中二人で作業小屋をとり壊し、船体を小屋から出せるところまで出来たのです。
ここまでは小屋を建てた時に計画していたので何の問題も無く済んだのですが、
この後又強風が吹き込み小屋を取り払った後の船体を揺り動かし勝手に船体を倒してくれたのです。

倒された船体は、中をファイバーグラスを張る前なので船体は見事にペチャンコになってしまいました。
一見大きなフォールディングカヌーのようになってしまったのです。
これを見た女房は今までの何ヶ月かの労働が無駄になったと思い込み、私に言いたい放題の苦情を言い続け落ち込みました。
私自身もショックでしたが、私が落ち込むわけには行きませんので、女房を励ましながら冷静な目でペチャンコになった船体を眺め観察しました。

船体自体はこの時点では被害は無くフニャとしていて起こすことが出来ない状態です。しかし船体の後ろを持って船体を振って見ると簡単に振れるほど軽い事が解り、軽く船体を作るのが目的ですので寝たきりの船体にもかかわらず少し満足しました。
今度はこの寝たきりの船体をどうして起こすか?すでにクレードルは作ってありこれに船体を起こし上に載せ立たせるのです。

これが予想していたとおり大変な仕事で柔らかい船体はこのままでは起きないのです。
強引に起こすと一点に船体の重さが掛かり亀裂が入ります。すでに何回か試みた結果亀裂が出来ました。
ファイバーグラスのボートは簡単に修理することが出来るのですが形がゆがんでいるとそのまま固まってしまうので、
先ず、船体を棒で支え船体を開きました。すると元の船体の一部のカーブが現れた。これをファイバーグラスで固め少しづつ船体を硬くして起こそうと計画しました。この作業に二日掛かり船体が半分は硬くなったので、二人でジヤッキとテコを使い船体を起こすことに一日中挑戦したのです。

もう少しで起きるところまで出来たのですが最後の少しが起き上がりません。
未だ船体の半分が柔らかく力をかけることが出来ずに起き上がらないのです。とにかく今日は疲れきったということで 「明日にしよう」と又次の日に挑戦し直したのですがやっぱり起きない。
これは作戦を変えて無い知恵を絞り再三挑戦し直す事にしたのです。

ブツブツ言っていた女房は今では意地になって何とかこの寝たっきりの船体を起こそうと頑張っています。
まるで年老いた我々が寝たきりになり家族の誰かが何とか起き上がらして元気に又動かそうとしているみたいです。

今度は滑車を買ってきてこれを使って何とか起こそうと計画しました。
滑車を使う事は以前から考えていましたがこれにも問題があり、埋立地を作業地にしているため地盤が柔らかく滑車を支えることが出来るか?が問題となってきます。

これからこの課題に挑戦しようとして昨日滑車を買って来ました。毎日 「ボケ防止」に、無い知恵を使っている我々夫婦です。
見事船体は起き上がるでしょうか?。昨夜は雨が降り続き今頃半寝たきりの船体に雨がたまりプールと化している事でしょう。
今からこれを見に行くのですが少し恐い気がします。

Saturday, January 13, 2007

 

老後の時間の使い方を考える

老後の時間の使い方を考える

熱帯低気圧崩れがニュージーランドの上に停滞していてここ何日間は蒸し暑く雨が降り続く毎日です。
日本の梅雨を思い出す天気、本来このシーズンのニュージーランドの天候は日中25度ぐらいでカラッとした暑さが続く夏ですが、
南太平洋の熱帯低気圧が時々下りてきてこのような天気になるのです。

ニュージーランドはめったに台風が来る事はありませんが、たまにコースを変えた台風がやってくる事があります。
私が覚えている台風は、ハリケーンボラというのが18年?前ぐらいに一度やって来て大きな被害を与えたのが記憶にあるぐらい、たまにやってくる程度です。

台風が余り来ない地域で台風がやってくると、災害の準備が出来ていないので予想以上の被害を与えるのが常です。
日本の様に定期的に台風がやってくる地域では、台風に対して心構えや対策が採られていると思いますが、ニュージーランドでは何も対策がされてないのが普通です。最近は地球温暖化?の為か洪水がしばしば起こりますが人口が少ないせいか?凄い洪水なのに以外に被害や人災が無いのがニュージーランドの洪水です。

これがフィリピンならば何万人という人が死んでしまうのでは?と思うような洪水でもこの国では大したことがなく、水が引くとケロッとした表情の人がかたずけをしているというのがテレビで映るぐらいです。ここでの被害の多くは家畜の牛が溺れたり羊が流されたりというのが被害の状況と言うところでしょう。

ところで、天候のせいでここ何日間はカタマラン造りの方はお休みと言った状況です。
暇をもてあましているのでこのブログを書いています。以前だったら酒でも飲んで時間を過していたのですが、今はその酒も少ししか飲めずにいます。飲みすぎると体調を壊すような歳になり最近は赤ワインを水割りにしてチビチビ舐めているのが今の私の飲酒です。

日本の忙しい生活に見切りをつけ、セミリタイヤを宣言してこのニュージーランドに永住した我々夫婦は、ここで永住権を得る為に趣味の宿屋を開いていましたが、今回、本格的なりタイヤ宣言をして自分達の老後を過そうと計画しています。
何故、リタイヤ宣言をする必要があるのか?と言いますと、自営業というのはどこかで自分達で行動の総て、休みの総てを決めなければならない。

会社人間のように、何歳でリタイヤです。という事が無く、ずるずると働き続けるといった生活になってしまうため、「この辺でリタイヤだ~」と宣言する必要があると思うのです。
私も今年で60歳になってしまいます。未だ働けるとは思いますが、最近は働いた後に体調を壊すようになってきたので、この辺で自分達の為に時間や残りの体力や気力を使いたいと考えています。

「それじゃ~リタイヤして何をするのだ」と考えて見ますと、特別にやりたいことが見付からないのが現状ですが、多くの先輩年寄り達を長い間観察してきまして、一番多いのが旅行と園芸で時間を過すパターンでしょう。
ここニュージーランドでは収入に余裕がある人は、先ずリタイヤの為の気候温暖な地域に家を買い求め、落ち着いたならば、世界旅行に出掛けます。英語圏のこの国ではニュージーランドだけで働いているというパターンが少なく、自分にとって良い仕事があると世界中働きに行き、家族が世界中に散らばって生活しているパターンが多いので、世界旅行に出掛けて親交を深めるのでしょう。

一般人の老後として多いのは、家庭菜園と運動のゴルフやテニス、ジョキングや散歩の日々を過し一年に一回ぐらい外国旅行に行く。
普段年金を少しずつ貯めてツアーに参加する。
老人が多く集まるテニスクラブに参加していると、毎年冬には「何処そこに旅行に行ってきた」と言う話を聞かされるのが恒例となっている。

我々もそんな時間を老人になった時過すのではないか?と観察してきたのです。一般に経済的な話をすると、レストランで食事をする金額を考えると、その人が得ている収入の一日分ぐらいまでが無理の無い金額ではないか?と思うのです。
そして旅行に行く金額としては,その人が得ている金額の一ヶ月ぐらいまでが無理の無い金額ではないか?と考えているのです。

するとリタイヤ後の老人が使える金額は、一定の収入が途絶えた老後であれば、以前に蓄えた貯金と年金で生活費や旅行費をやりくりしなければならない。
リタイヤ後でも収入の多い人は問題はないと思いますが、多い人は多い人で以前より収入が減っているのが一般的ではないでしょうか?

このような状況で有り余る時間を過すには、ゆっくりと金があまりかからない旅をすると言う事が多くなります。
ここニュージーランドでも最近は多くなりました。このような旅行での問題は、若い人がやっているとなんとなく「若さ」で美しくたくましく見えたりするものですが、老人の姿は美しくは見えません。美しく見えないだけではなく、なんとなくみすぼらしく見え、淋しく、世の中から捨てられ見知らぬ国を漂っているように見えます。

若い頃の安い旅行は、体自体も抵抗力が強いので良いのですが、年老いてからでは抵抗力が弱いのでせめて清潔な環境で寝泊りや食事が出来るぐらいの旅にしたいと考えているのです。
そして目的無しにさまよい歩くのではなく、我々の考える旅は、釣りなど目的の有る旅にしたいと考えています。

我々の場合外国旅行はかなり以前にしたことでもありますし、今行って見たいと言った特別な国も無く、悲しい事に感激も少なくなっています。
このようなことを色々と考えていますと、「家」と言うものを引きずりながら旅ができれば最高ではないかといった結論になってきたのです。
行く先々で遊び道具、「我々の場合は、釣り道具やテニスラケットなどを持ち」旅をする。
そして夜は自分のベッドでゆっくり眠る。食事は質素な物を自炊する。その土地の珍しい物を買い求め自炊する。釣り上げた魚を料理して食べるなど。
年寄りになるとレストランの食事は 「毒」になっても栄養にはならなくなってゆきます。何故か?と言いますと、食事を美味しくするにはかなり多くの油、バターや調味料を使う必要があり、これらが体に悪いのです。たまに食べるのなら良いのですが旅行中という事は自炊以外はこのような食事をしなければならない。

特に長期の旅となると、イヤでも毎日カロリーの高い 「美味しい、体に悪い」 料理を食べ続けなければならない。もしくはスーパーで買い求めた簡単な食事をしなければいけない。長期の旅においてこのような食事は年老いた体には健康を害することになりかねない。
まだまだ旅行に関しては色々な問題が伴いますが、老後の旅行を考えた時、我々は「自分の家」と共に旅行できれば最高だと考えています。
貴方はどんな旅がしたいとお考えですか?。

Friday, January 12, 2007

 

ヨットの製作 その2

ヨットの製作 その2

プラスチックを使った造船のことをもう少し書きますと、先ずメス型にゲルコートという日焼け止め用やその他の役目のペイントをメス型の内側に塗ります。船体を型から抜いた時、これは外装ペイントとなるのです。
これにレジンを吹き付けます。このレジンはポリエスターを使います。その次にファイバーグラスを張り又ポリエスターを吹き付けます。
これを何回も積み重ね好みの厚さまで積み上げて船体の元が出来上がります。

どの位の厚さまで厚みを積み上げるか?と言いますと、その船をどのように使用するか?で違ってきますが、例えば沿岸のみで使用する場合は薄くて軽い方が良く、外洋はもう少し強度が求められる為厚めとなります。
船底は船体の中でもより強度を必要としますので少し厚くなります。

この工程が終わるとこれに海水が浸透しない様にバリアーコートをするのです。これは最近はビニエスターを塗ります。
ポリエスターはきめが粗いので海水を浸透する為バリアーコートが必要になってくるのです。
多くの船はポリエスターで造られており最近のアウトドアーの服も同じ材料で作られています。
このポリエスターを多く使うのは材料の価格が安いからでメス型の場合は多く使われています。
それではポリエスターが万能か?と言いますとこれにも接着力が弱いと言う欠点があり、一度固まったものに塗っても完全に張り付きにくい為、塗った後の表面が乾かない内に何回も塗り重ねて行き一度に固めるようにメス型に吹き付けるのです。

最後にこれをバキュームで型から抜き取ると船体の出来上がりとなります。毎日使われているフロ桶と同じなのです。これだけでは船体がくねくねと曲がりますのでこれに横棒や仕切りと呼ばれるストリンガーやバルクへッドを入れ強度を高めます。
これに内装を施し、デッキを載せ、装備品を取り付けるとヨットの出来上がりです。

我々のカタマランは自分達で造っているため、ポリエスターは使えないのです。
それは少しずつ造る為、毎回接着面が乾きすぎ二次接着(セカンドラミネーション)になるため接着力が悪くなり問題が起こってきます。
そこで材料代は高くなるのですがエポキシを使っています。エポキシは接着力が強く乾いたレジンの上からでも良く接着する為我々の目的に叶い、レジンのきめが細かい為海水の浸透が少なく(完全ではない)ヨットの船底に使うにはもって来いの材料なのです。

このレジンにも問題があり、直接レジンに触ると肌がかぶれるという難点があり、ニ重の手袋をして不自由な手つきで作業をしています。
このエポキシに弱い私は、今までヨット造りをためらっていた理由の大きな一つでした。
今回は歳も取ってきたし、ためらってばかりでは何も出来ないとかぶれるのを覚悟で始めたわけですが、毎日のように繊細に気配りをしエポキシを扱っていると少しずつ慣れてきてかぶれることが少なくなってきました。

エポキシに慣れた?免疫が出来たという事ではなく、使い方や取り扱い方の用心に慣れたようです。
このエポキシをファイバーグラスに塗りつけますとあの柔らかいファイバーグラスが硬いプラスチックに変るのです(乾くと)。
何か手品でもやっているように硬いプラスチックに固まってゆくのを感心し、少しずつ船が出来上がって行くのです。

何て便利な事でしょう。これを上手く使えばなんでも出来そうな気がしてきます。現実にいろいろなものが作られています。誰でも何でも作れそうな気がしてくるのです。後はこれを作ろうという発想だけなのです。
我々のカタマランはこのエポキシとファイバーグラスとフォームで総てを造ってやろうと考えているのです。

カタマランの使用目的はクルージングですので、居住性を良くして、出来るだけ明るく、気持ちがウキウキする様な配色の船にしたいと考えています。ここに知り合った人達を迎えてワイワイ、ガヤガヤとお茶のみ話に花が咲く様な軽食喫茶のような場所がいいな~と話しています。

昔風の、しっくりとした内装の船は何故か暗い気持ちになってしまうため、明るい船が欲しいと以前から思っており、暖かい南太平洋の海をセーリングするのに、昔の寒いイギリス風の船はもう沢山だという気持ちなんです。
とは言っても今持っている船はそんな雰囲気のある船です、これを売るときにはそんな事は言わないつもりですがね~。

歳を取るとだんだん暗くなりがちですので、せめて生活をするスペースだけでも明るくコンテンポラリー風にしたいと思うのです。
船のもう一つの使い方に、ステータスのヒケラカシ的使い方をする人がいますが、我々は釣りの基地であり旅行の為の海のキャンピングカー的使い方にしたいと考えています。

船を造る話から造っている年寄りの話しになってきましたが、歳を取ると健康な体調を維持したいが為に、食べるものにも気をつけ少ししか食べず粗食を心がけ、酒も若い頃のようには飲めず、余分な知恵だけ付いて金の使い方も上手くなり無駄遣いもしなくなる。
せっかく稼いだ財産を抱え込み使えば減ると見せびらかすだけの生活、おしゃれをしても似合わないし、見てくれる人もいないし、

こんな生活から抜け出し、もう少しで死んでしまう?かも知れない歳になってしまったのだから、使い切って、遊びまわって、老後を暮らしたいと思うのだが、現実はただの守銭奴に終わるのではないか?と恐れる日々である。
歳を取るとますます老後の為にと心配し節約するようになる。
{あんたはすでに年寄りだよ} と、耳もとで誰かが聞こえよがしにささやくのが聞こえる。
結果的に自分では使えず誰かに持っていかれる虎の子を少しでも有意義に使う道はないものか?と考え、他の年寄り達を見渡すと同じ様な生活をしており、旅行だけが年寄りが出来る遊びではないか?と思う今日この頃である。

その老後の旅行に使うための道具であるカタマランを今造っているのだと自分に言い聞かせ、羽が生えたように飛んで行く材料費を見て見ぬ振りをして目的に向かっている毎日です。

Tuesday, January 09, 2007

 

ヨットの製作

ヨットの製作

今日は熱帯低気圧崩れがタスマン海峡を南下してきて、南からは寒冷前線が北上してくるといったにぎやかな気圧配置で、どう見ても大量の雨が振りそうな天気図である。
天気図が教える通り、外は雨が降り続いています。

雨が降り続いているからガレージで出来る仕事としてウォータータンクを作っています。
このタンクは一個400リッターの水が入るタンクを両ハル一個づつ合計800リッター。
一般に陸上での水の使用量は一人一日4リッターといわれており、単純計算をすると二人でセーリングすると百日分ということになります。

実際はこのように上手くいくものではなく食事のかたずけやシャワーに使う水が必要となり、節約しても二倍の水が必要となってくるでしょう。
外洋のセーリングを考えますと大洋の海水は 「飲む」 と言う場合は造水器が必要となってきますが、食器を洗う、洗濯をする、水浴びをする、などには沿岸の海水と違い陸上の汚れというものが少なく、最後にすすぎをすれば問題なく使用出来ます。

一般に長く見ても一ヶ月ぐらいで陸に到着するので、そこで水を補給する事が出来ます。普通長くても1週間から2週間ぐらいのペースでセーリングをするとして、このカタマランは8人まで乗れるので一人当たり100リッター、25日分、と単純に計算します。
セーリング中雨が降れば屋根から真水を取る事も出来ますし、非常用として飲水を積んでおくことも可能ですし、造水器も積む事も出来ます。

この間どこかで見たヨットの雑誌では、600リッターの水を積み込んだカタマランがニュージーランドからフィジーまでセーリングをして使った水は4人で300リッターであったと書いてありました。
ヨットが速いという事は水の使用量も少なくていいということにも繋がります。

話しは変りますが、最近の船は90パーセントがプラスチックで造られているということです。
昔は木材を使った船が一般的でしたが、木材を使った場合、船の重量が重くなる事と、木材が吸い込む水分が船を少しずつ腐らしてゆくという欠点があります。
そこで最近は木材にレジンを塗りつけながら作り上げるというプラスチックと木材の混合というか?このような船が一般的に造られて居ります。

しかし数としては絶対に少なく、昔のイメージを追う人は木造船を好むのですが、メンテナンスが大変で、造るのも技術が必要となり金額も高くなって、実際には重い船になるため最近は好まれなくなっている。
船としての味は捨てきれないのですが、この船が持つ家具調の良さを内装だけに木材を使ったプラスチックの船が多くなっています。

船大工にしてみれば自分が長年この道で塾錬してきた技術を余り必要としなくなってきた事に嘆くのですが、人件費が高くなってきた今日この頃ではなかなか雇ってくれる人がいなくなっているのが現状なのです。

金属で造った船、これはアルミや鉄ですが、強度の点では非常に良いのですが、金属疲労、重量、錆、と言った点で問題があり、
重さがあるので50フィート以上の船で無いかぎり余りメリットが無いと言われております。

次に一番多いプラスチックの船ですが、我々が今造っているのもプラスチックの船です。
これは比較的技術が無くても造れるという長所があり、安いレーバーを使うことが出来コストを下げることが出来る。
船を造っていて感じる事は、ほとんど?と言って良いほど単純労働が多い、これは安い労賃で雇って働かせたいと思うほどで、誰でも大変では有るが、船を造る事が可能になることが多い。

最近はニュージーランドの船大工を雇うと労賃が時間60NZ$、今我々が造っているカタマランは多分5000時間の労賃が必要とされる。もし我々に雇う金が有ると仮定すると労賃だけで300,000NZ$が必要となってくる計算である。

こんなに労賃が高くなってくると安い国で船が造られるのが一般的になるのがわかる。これからは中国だろうと思う。
そこで、プラスチックの船はどうして造られるか?と言いますと、一番多いのはメス型を作りこれにレジンとファイバーグラスを吹き込み型を作る方法が一般的である。

この場合このメス型を作るのが一番技術が必要とされコストが掛かる。このコストは船の売値の3分の1ぐらいか?、そこで10艇ぐらい造らないと採算が合わないといわれて居ります。
我々が造っているやり方はオス型にファイバーグラスとレジン、これにフォームをはさみ厚みを出し軽さと強さを同時に作り出すやり方で、ヨット造りの初期の時代によく使われたテクニックなのです。この造り方は時間が掛かり問題も多いのですが、金が一番掛からず、時間が一杯ある我々にはもってこいの方法なのです。

言い方を替えると、この方法しか我々がカタマランを造ることが出来ないといっても良いでしょう。
まったく大変なことを始めたものだとは思いますが、今は毎日が充実しており 「夢と希望」 「絶望と落ち込み」 の毎日ですが、何かを作り出すという事は楽しいものです。
クリスマス休みの為に材料が途絶えていたのですが、昨日やっと手に入れることが出来、又雨が上がったらカタマラン造りに励みたいと思います。

Monday, January 01, 2007

 

新年明けましておめでとうございます。

新年明けましておめでとうございます。

2007年がやって来ました。今年もカタマラン造りを投げ出さないように造り続けたいと思って居ます。

いまやっている工程はフェアーリングといって、レジンに粉を混ぜた奴を船体に塗りつけては磨きとるといった「これは無駄ではないか?」
と思うほど塗っては削り落し塗っては削り落とす。
これをやることにおいて少しずつ凹んだ部分が埋まって行き船体がスムーズな綺麗な平面となって行くのです?。

これは船がどのくらい美しくみえるか?と言ったコスメチィックの世界であり、船の性能や安全性とは関係の無い世界なので、
何処までやれば自分自身が納得するか?の問題が多く、無駄に材料を沢山使い美しくしてゆく、時間ももう一週間も掛かっており未だ掛かりそうである。
おまけに材料がなくなってきたのでオーダーしなければいけないのだが、あいにくの年末でニュージーランドは総てと言っても良いぐらい止まっている。

最近は昔ほどではなくなったといっても一月半ばまではまともには動かず総ての人達は金が無くても遊び続けている。
遊ぶ為に働いていると言ったような国なので仕事などそっちのけである。
私の考えとしては何も悪い事ではないと思うのだが、身勝手な考え方として材料が無くなったので早くみんなに働き始めて欲しいと思っているのです。

ニュージーランドの新年の様子を少し書きますと、クリスマスを中心として国中が騒ぎクリスマスプレゼントを買い贈りあいます。
我々の考えではなぜか?クリスマスイブがクリスマスと言った間違った考えを思い込んでいたのですが、当たり前の事としてクリスマスと言うのは25日なのです。

我々は24日にパーティーなどをして酒を飲みケーキを買い食べると言う事をやっていた関係で、クリスマスは24日だと思っていましたが、こちらでは25日に家族が集まって一緒に食事をしてクリスマスを祝いプレゼントを贈りあう。
決してみんながクリスチャンではないのだが祝日と家族が集うよい機会となっている。

年寄り連中はこの日を楽しみにしており、会う度に家族の話しをして、さも「羨ましいだろう」と言ったように言いふらすのである。
この国では家族は農家とか以外は別々に暮らしており、日本の様な同居などはよほどの事がないかかぎり見る事はない。
各自が自立して生きることを習慣として生きている為、18歳ぐらいになると自立して生きるのが一般的である。

したがって家族が集う事が出来るのはクリスマスが良いチャンスであり、年寄りが楽しみにしている一年に一回の楽しい時間である。
これも最近は遊ぶことが多くなっており、若者は形式的にクリスマスの食事を食べると直ぐに遊びに出掛けてしまうように時代が変って来た。

時代がこのように変って来たので日本のお節料理を若者が食べなくなった様に、こちらの若者もファーストフードを好むようになってきた。
年寄りはここでも又取り残されて行く様だ。

このクリスマスの盛り上がりが終わるとニューイヤーズイブのパーティーが待っていて、これは酒を飲み馬鹿騒ぎをして踊り明かし新年を迎える。
若者はビーチに集まり(こちらは夏である)踊り明かし、一部は暴れ狂いポリスに捕まるのが例年の行事である。

新年はこれが盛り上がっている行事で有るが次の日からは普通の日に戻る。
しかし未だクリスマス休みは続いては居るが、我々が考えるお正月と言った様子は何処にも無い。しいて言うならば夏の日曜日のような日々が続いて行く。

こんな様子がニュージーランドの新年である。
我々はと言いますと、今年の新年は非常に夏としては寒く
目が覚めて朝風呂に入りたくなり恒例のシャンペンを抜き朝風呂としゃれ込み、新年のお雑煮の代わり小麦粉の団子を落とした自家製お雑煮を食べ正月気分になりました。

しかし余りにも日本食はあっさりしており何か物足りないので、この前韓国料理の店で買った餃子(韓国食品店では日本食、中国食、も売っている)などを食べて新年を祝いました。
タマのノンビリした時間も良いのだがテレビも面白くなく、出掛ける気もしないので酒を飲んで寝転んでいただけの新年でした。
退屈な新年ですね~又今年もカタマラン造りに励みたいと思っています。

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