Saturday, August 19, 2006

 

事件が起きた

事件が起きた

船材を港に取りに行く日が来た。
貨物船から降ろされた荷物は一旦港の隅っこに運んでもらいそれをトレーラーで引取りに行く。
船材は2センチ厚さのマットのようなプラスチィックと想像してもらえば良いと思います。とにかく軽く少しの風でも舞っていってしまう。

当日は風もなく静かな天候に恵まれて運びやすかったのですが、時々微風が来ると担いだマットが何度か飛ばされせっかく雪のように白いマットが地

面に落ち汚れる。それを手で払ってはトレーラーに積み込む。
頼んだ枚数は600枚、しかし自分の中で想像していたより現実には体積があり簡単に軽いものだから運べると思っていた目算が狂う。

上手くすれば一回で運べるかな~とも思っていたのだが3回は掛かるとなりせっせと「蟻さん 蟻さん」と女房と運ぶ。

二回目を運び込み又港に向かう途中で家から3キロぐらい離れた道端に見慣れない若い男達が三人ぐらいたむろしており、石か何かを牧場に投げている。天気の良い晴れた午後に若い男達がたむろしている姿を見て何か嫌な予感がする。

三回目をトレーラーに積み込みやっと終わったと家路に向かう時、先ほど若い男達がたむろしていた所にパトカーや救急車のようなバンが止まっており
ほらさっきの男達が何か悪い事をしたのだと車の中で想像する。

その地点からコーナーを曲がった先500メーターぐらいのところに又パトカーが警報灯をくるくると回し止っている。
ほら何かあったぞと思いつつ車を走らす。もう500メーターぐらい走らすと今度はパトカーを盾にしてアームディフェンダーと呼ばれる黒装束のポリスが各自ライフルを持ちたむろしている。

これはひょっとしたら大事件かもしれないぞ~と、まるで映画のシーンのようで少し興奮するが実感としては分からない。

ニュージーランドでは一般のおまわりは拳銃を腰にぶら下げては居らず、ペッパースプレイと警棒ぐらいを腰につけている。
一旦犯罪が起こると危険防止のため拳銃を持つのだが、凶悪犯の場合は黒装束のアームディフェンダーがお出ましになり、犯人を捕まえるのだがまだ抵抗する脅迫犯にはお構いナシに撃ち殺す。

テレビで時々映りだされるのだがこれが現実に目の前で起こっている。言いたくはない事ですが今ニュージーランドは世界ではアメリカに次いで二番目の犯罪国となっています。これも実感としては感じられないのですが、刑務所は満杯で入るところは無く軽い犯罪は短い刑で出獄させ出獄者は又犯罪を起こす悪循環が起こっている。

こんな人口の少ない国で犯罪が多く捕まっては刑務所と言う学校で仲間同士教育をして又犯罪を起こす。

とにかくこのライフルを構えているポリスの前を車で 「チョッと前をすみません」 と言った感じで船材を一杯積んだトレーラーで通り過ぎる。
別に道路封鎖をしているわけでもなく何か変だといった感じで通り過ぎる。

家にたどり着きまたせっせと船材を降ろしていると何か拡声器で呼びかける声が聞こえる。私の家は静かな町の近くにある田舎と言ったような場所にあり昼間は2キロ先で呼びかける拡声器の声が聞こえる。何を言っているのかははっきりとは聞こえないのだが、テレビや映画のシーンで想像できるような犯人に対して呼びかけているのだ。

その直後パンパンと銃声が聞こえる 「アッ! 撃ったんだ 」 何んて思いながら又セッセセッセと船材を降ろす。我々としては本当に撃ち合いが起こっていてもテレビや映画のシーンのようでまだ実感としては感じない。

船材を運び終わりトレーラーをレンターカー屋に帰しに行く時、まだ打ち合いをやっている音がする。その前を車でゆっくりと通り 「取り込み中の所チョッと前を失例します」 とばかりライフルを構えている警官達の前を横切る。今撃つのはチョッと止めて頂戴、お願い、なんていう感じで前を通る。

通り過ぎる瞬間に打ち合いを覗き込む。小屋に犯人が隠れているかのようにそれを何人かのライフルを持った黒装束が取り囲み、小屋の前には二人の男が撃たれたと見え倒れている。私は運転をしており一人の倒れている男しか見えなかったのだが女房は二人倒れており一人の頭のはげた男は足をピクピクさせていたと言う、 「頭がはげており、怪我が無くてよかったね~」 何んてしゃれにもならない状態である。

道路の反対側には何人かのライフルを構えている黒装束がおり、その前を例により 「チョッと失礼します」。 通り過ぎる時もう少し見ていたい気持ちはアッタのだがそんな雰囲気には見えず、これは通りすぎた方が良いと感じトレーラーを返しに行く。

又その帰り、事件の前を通りすぎると今まで周りにあったパトカー何台かや多くの車が問題の家に集まっており事件がケリの着いたことが感じられる。

今晩はニュースで報道されるだろうと思い家に戻る。
その夜、テレビでは何も報道されず、ラジオでも何も例の事件は報道されない。いったい何があったのだろうか?未だに不明である。

きっと麻薬がらみの事件に違いないと想像するが、ヒョットしたら映画の撮影だったのか?いったいなんだったのか?
未だに原因が分からない。我々一般人というのはニュースで流されないと何も分からないものだと改めて感じる。反対に嘘や歪めて報道されればつい信じてしまうものだと思う。

いつかこの事件の事は誰かに聞いてみようと思っている。

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