Saturday, October 14, 2006

 

4転び5起き

4転び5起き

まだ風が狂ったように吹き荒れている。
ニュージーランド南島では学校の屋根が吹き飛んだり、車が二台つぶれた、山火事が頻発しているとテレビで放映されている。

我々のところはこのニュースから見ると少し風が弱く、50ノットぐらいのゲールですが、風向きに切り開けている我々のヨット製造工場となるテント小屋は100%メチャクチャに叩きのめされてしまいました。 「全壊」「お見事」

このぐらいやられるともう抵抗したり手直しをしたりする気も無くなり、口から出るのは 「無情な風よ吹くなら吹け」
こんな歌の文句ぐらいで横目で見ているだけ。

一晩寝て、今日は何とかこの風を弱めようと夫婦で話し合い暴風壁を作ることに決める。
大量に材木を買い求めヨット製造地の周りを囲い始める。
半分やけくそな思いとまだ吹き続ける狂った風に、二人とも内心はイライラしている。チョッとした言葉の節々で引っかかり直ぐに口喧嘩が始まる。二人とも口を硬く閉じてモノを言わないようにして 「このぐらい風に吹かれるとかえって気持ちがいいね~」などと強がりを言いながら、今でも泣きそうな気持ちを抑えて暴風壁作りに励む。

それでも一日掛かって暴風璧作りをしているとなんとなく落ち着いた気分になってきた。
そこを又すかさず狂ったように風が吹く。風で倒れたテント小屋を今は片付けずにそのまま暴風壁作りをしている為、テント小屋が宙に舞い、中にあったものが飛び散ってゆく。仕方が無いのでもう一枚のテントをかぶせ中のものがせめて飛んで行かないようにする。

今では4棟のテント小屋がつぶされたのでテントの廃材料が手元に一杯でき、このテントのパイプなどをあらたに杭として使う使い方などをするのには困らない。

暴風壁の柱が立つとなんとなくどこかの競技場のような感じ、この柱に各国の国旗など揚げるとぴったりの雰囲気と成る。
この柱ができたのをきっかけに女房は落ち込んだ気持ちから立ち直り、新しいヨット製造工場のアイデアが浮かぶ。

坂道の土手を利用して暴風壁のような柱を立てる。そこから斜め下に屋根となる材木を数本渡し、新しい小屋を建てようではないかと言い出す。
これならヨットの一部が出来ても小屋を簡単に取り除き、又次の一部を作れる。これなら良いだろうとこの案を取り入れる事にする。

材木でがっちりと小屋のような物を作ると風には強いのだが、作業工程でどうしても小屋を何度か取り除かなければいけない。
このような課題があるために問題は難しいのだ。

一ヶ月の仕事が一日の強風にあっけなくメタメタにされ、 「何でこんなことをやっているんだ」と言った気持ちも有るが冷静になって見ると 「こんなに大変だからやって見たい」 。
以前このニュージーランドにやって来てヨットを買い求め 「海を渡って見たい」とヨットの練習をしていた頃、多くのニュジーランドヨットマンとめぐりあった。
この中の多くの人達が大きいヨットから小さいヨットまで何か自作した事があり、この人達と話し、

俺もいつかは自分でヨットを造って見たいと思ったものである。これが今のこの大変なヨット造りである。
「ヨットとは大金を遣って不自由な生活を買い求めるものである」と私は昔から言っていた。
今でも同じことをやっている。これがいつかやり遂げられたとしたら、イヤたとえやり遂げなくてもキット満足感が得られるだろうと信じている。

ところで、どうですか?
誰かこんな大変な喜びを求めてヨットを造りたいと思う人はいませんか?
世の中にはキット変り者がいると信じているのですが、どこかに居ませんかね~。

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