Tuesday, January 09, 2007

 

ヨットの製作

ヨットの製作

今日は熱帯低気圧崩れがタスマン海峡を南下してきて、南からは寒冷前線が北上してくるといったにぎやかな気圧配置で、どう見ても大量の雨が振りそうな天気図である。
天気図が教える通り、外は雨が降り続いています。

雨が降り続いているからガレージで出来る仕事としてウォータータンクを作っています。
このタンクは一個400リッターの水が入るタンクを両ハル一個づつ合計800リッター。
一般に陸上での水の使用量は一人一日4リッターといわれており、単純計算をすると二人でセーリングすると百日分ということになります。

実際はこのように上手くいくものではなく食事のかたずけやシャワーに使う水が必要となり、節約しても二倍の水が必要となってくるでしょう。
外洋のセーリングを考えますと大洋の海水は 「飲む」 と言う場合は造水器が必要となってきますが、食器を洗う、洗濯をする、水浴びをする、などには沿岸の海水と違い陸上の汚れというものが少なく、最後にすすぎをすれば問題なく使用出来ます。

一般に長く見ても一ヶ月ぐらいで陸に到着するので、そこで水を補給する事が出来ます。普通長くても1週間から2週間ぐらいのペースでセーリングをするとして、このカタマランは8人まで乗れるので一人当たり100リッター、25日分、と単純に計算します。
セーリング中雨が降れば屋根から真水を取る事も出来ますし、非常用として飲水を積んでおくことも可能ですし、造水器も積む事も出来ます。

この間どこかで見たヨットの雑誌では、600リッターの水を積み込んだカタマランがニュージーランドからフィジーまでセーリングをして使った水は4人で300リッターであったと書いてありました。
ヨットが速いという事は水の使用量も少なくていいということにも繋がります。

話しは変りますが、最近の船は90パーセントがプラスチックで造られているということです。
昔は木材を使った船が一般的でしたが、木材を使った場合、船の重量が重くなる事と、木材が吸い込む水分が船を少しずつ腐らしてゆくという欠点があります。
そこで最近は木材にレジンを塗りつけながら作り上げるというプラスチックと木材の混合というか?このような船が一般的に造られて居ります。

しかし数としては絶対に少なく、昔のイメージを追う人は木造船を好むのですが、メンテナンスが大変で、造るのも技術が必要となり金額も高くなって、実際には重い船になるため最近は好まれなくなっている。
船としての味は捨てきれないのですが、この船が持つ家具調の良さを内装だけに木材を使ったプラスチックの船が多くなっています。

船大工にしてみれば自分が長年この道で塾錬してきた技術を余り必要としなくなってきた事に嘆くのですが、人件費が高くなってきた今日この頃ではなかなか雇ってくれる人がいなくなっているのが現状なのです。

金属で造った船、これはアルミや鉄ですが、強度の点では非常に良いのですが、金属疲労、重量、錆、と言った点で問題があり、
重さがあるので50フィート以上の船で無いかぎり余りメリットが無いと言われております。

次に一番多いプラスチックの船ですが、我々が今造っているのもプラスチックの船です。
これは比較的技術が無くても造れるという長所があり、安いレーバーを使うことが出来コストを下げることが出来る。
船を造っていて感じる事は、ほとんど?と言って良いほど単純労働が多い、これは安い労賃で雇って働かせたいと思うほどで、誰でも大変では有るが、船を造る事が可能になることが多い。

最近はニュージーランドの船大工を雇うと労賃が時間60NZ$、今我々が造っているカタマランは多分5000時間の労賃が必要とされる。もし我々に雇う金が有ると仮定すると労賃だけで300,000NZ$が必要となってくる計算である。

こんなに労賃が高くなってくると安い国で船が造られるのが一般的になるのがわかる。これからは中国だろうと思う。
そこで、プラスチックの船はどうして造られるか?と言いますと、一番多いのはメス型を作りこれにレジンとファイバーグラスを吹き込み型を作る方法が一般的である。

この場合このメス型を作るのが一番技術が必要とされコストが掛かる。このコストは船の売値の3分の1ぐらいか?、そこで10艇ぐらい造らないと採算が合わないといわれて居ります。
我々が造っているやり方はオス型にファイバーグラスとレジン、これにフォームをはさみ厚みを出し軽さと強さを同時に作り出すやり方で、ヨット造りの初期の時代によく使われたテクニックなのです。この造り方は時間が掛かり問題も多いのですが、金が一番掛からず、時間が一杯ある我々にはもってこいの方法なのです。

言い方を替えると、この方法しか我々がカタマランを造ることが出来ないといっても良いでしょう。
まったく大変なことを始めたものだとは思いますが、今は毎日が充実しており 「夢と希望」 「絶望と落ち込み」 の毎日ですが、何かを作り出すという事は楽しいものです。
クリスマス休みの為に材料が途絶えていたのですが、昨日やっと手に入れることが出来、又雨が上がったらカタマラン造りに励みたいと思います。

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