Friday, January 12, 2007

 

ヨットの製作 その2

ヨットの製作 その2

プラスチックを使った造船のことをもう少し書きますと、先ずメス型にゲルコートという日焼け止め用やその他の役目のペイントをメス型の内側に塗ります。船体を型から抜いた時、これは外装ペイントとなるのです。
これにレジンを吹き付けます。このレジンはポリエスターを使います。その次にファイバーグラスを張り又ポリエスターを吹き付けます。
これを何回も積み重ね好みの厚さまで積み上げて船体の元が出来上がります。

どの位の厚さまで厚みを積み上げるか?と言いますと、その船をどのように使用するか?で違ってきますが、例えば沿岸のみで使用する場合は薄くて軽い方が良く、外洋はもう少し強度が求められる為厚めとなります。
船底は船体の中でもより強度を必要としますので少し厚くなります。

この工程が終わるとこれに海水が浸透しない様にバリアーコートをするのです。これは最近はビニエスターを塗ります。
ポリエスターはきめが粗いので海水を浸透する為バリアーコートが必要になってくるのです。
多くの船はポリエスターで造られており最近のアウトドアーの服も同じ材料で作られています。
このポリエスターを多く使うのは材料の価格が安いからでメス型の場合は多く使われています。
それではポリエスターが万能か?と言いますとこれにも接着力が弱いと言う欠点があり、一度固まったものに塗っても完全に張り付きにくい為、塗った後の表面が乾かない内に何回も塗り重ねて行き一度に固めるようにメス型に吹き付けるのです。

最後にこれをバキュームで型から抜き取ると船体の出来上がりとなります。毎日使われているフロ桶と同じなのです。これだけでは船体がくねくねと曲がりますのでこれに横棒や仕切りと呼ばれるストリンガーやバルクへッドを入れ強度を高めます。
これに内装を施し、デッキを載せ、装備品を取り付けるとヨットの出来上がりです。

我々のカタマランは自分達で造っているため、ポリエスターは使えないのです。
それは少しずつ造る為、毎回接着面が乾きすぎ二次接着(セカンドラミネーション)になるため接着力が悪くなり問題が起こってきます。
そこで材料代は高くなるのですがエポキシを使っています。エポキシは接着力が強く乾いたレジンの上からでも良く接着する為我々の目的に叶い、レジンのきめが細かい為海水の浸透が少なく(完全ではない)ヨットの船底に使うにはもって来いの材料なのです。

このレジンにも問題があり、直接レジンに触ると肌がかぶれるという難点があり、ニ重の手袋をして不自由な手つきで作業をしています。
このエポキシに弱い私は、今までヨット造りをためらっていた理由の大きな一つでした。
今回は歳も取ってきたし、ためらってばかりでは何も出来ないとかぶれるのを覚悟で始めたわけですが、毎日のように繊細に気配りをしエポキシを扱っていると少しずつ慣れてきてかぶれることが少なくなってきました。

エポキシに慣れた?免疫が出来たという事ではなく、使い方や取り扱い方の用心に慣れたようです。
このエポキシをファイバーグラスに塗りつけますとあの柔らかいファイバーグラスが硬いプラスチックに変るのです(乾くと)。
何か手品でもやっているように硬いプラスチックに固まってゆくのを感心し、少しずつ船が出来上がって行くのです。

何て便利な事でしょう。これを上手く使えばなんでも出来そうな気がしてきます。現実にいろいろなものが作られています。誰でも何でも作れそうな気がしてくるのです。後はこれを作ろうという発想だけなのです。
我々のカタマランはこのエポキシとファイバーグラスとフォームで総てを造ってやろうと考えているのです。

カタマランの使用目的はクルージングですので、居住性を良くして、出来るだけ明るく、気持ちがウキウキする様な配色の船にしたいと考えています。ここに知り合った人達を迎えてワイワイ、ガヤガヤとお茶のみ話に花が咲く様な軽食喫茶のような場所がいいな~と話しています。

昔風の、しっくりとした内装の船は何故か暗い気持ちになってしまうため、明るい船が欲しいと以前から思っており、暖かい南太平洋の海をセーリングするのに、昔の寒いイギリス風の船はもう沢山だという気持ちなんです。
とは言っても今持っている船はそんな雰囲気のある船です、これを売るときにはそんな事は言わないつもりですがね~。

歳を取るとだんだん暗くなりがちですので、せめて生活をするスペースだけでも明るくコンテンポラリー風にしたいと思うのです。
船のもう一つの使い方に、ステータスのヒケラカシ的使い方をする人がいますが、我々は釣りの基地であり旅行の為の海のキャンピングカー的使い方にしたいと考えています。

船を造る話から造っている年寄りの話しになってきましたが、歳を取ると健康な体調を維持したいが為に、食べるものにも気をつけ少ししか食べず粗食を心がけ、酒も若い頃のようには飲めず、余分な知恵だけ付いて金の使い方も上手くなり無駄遣いもしなくなる。
せっかく稼いだ財産を抱え込み使えば減ると見せびらかすだけの生活、おしゃれをしても似合わないし、見てくれる人もいないし、

こんな生活から抜け出し、もう少しで死んでしまう?かも知れない歳になってしまったのだから、使い切って、遊びまわって、老後を暮らしたいと思うのだが、現実はただの守銭奴に終わるのではないか?と恐れる日々である。
歳を取るとますます老後の為にと心配し節約するようになる。
{あんたはすでに年寄りだよ} と、耳もとで誰かが聞こえよがしにささやくのが聞こえる。
結果的に自分では使えず誰かに持っていかれる虎の子を少しでも有意義に使う道はないものか?と考え、他の年寄り達を見渡すと同じ様な生活をしており、旅行だけが年寄りが出来る遊びではないか?と思う今日この頃である。

その老後の旅行に使うための道具であるカタマランを今造っているのだと自分に言い聞かせ、羽が生えたように飛んで行く材料費を見て見ぬ振りをして目的に向かっている毎日です。

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