Wednesday, December 05, 2007

 

ニュージーランドの鮭釣り


ニュージーランドの鮭釣り

本日は雨降りです。カタマラン造りはお休み。
何か書こうと筆を執りました。(筆はありませんからコンピューターのキーを叩いています)

ニュージーランドの南島はかつては鮭釣りでにぎわっていました。今でもにぎわってはいますが川に上ってくる鮭が少なくなり釣り自体人気が薄れています。
何故か?と言いますと、ニュージーランドの産業である乳牛牧場が、本来草も生えない河川敷を耕し川の水を汲み上げスプリングクラーで散水して強引に牧草を育てて乳牛を飼うため。

一見したところ素敵な牧場に見えるが、川の水を汲み出すため川が涸れ始め、牧場の牛達が落とす糞尿と肥料が雨と共に川に流れ込み、川は臭く死にそうになってしまっている。
自然環境より経済が優先された発展途上国のニュージーランドは、一部の人達の金儲けの大義名分の犠牲となって自然が破壊されている。
宣伝用の写真やビデオでは決して写らない現実がそこにあり、この公害で産卵遡上の鮭たちが被害をおって年々遡上の数が減っているのが現実です。

そんな中、南島に行く度に我々はついでに鮭を釣りに行こうと川を訪れるのですが、短期間では簡単に釣れなくなっておりいつも川を見るだけで帰ってきます。
そこで、「どうしても本格的に鮭を釣ろうじゃ~ないか」と決め、キャラバンを引っ張っていき二ヶ月間徹底的に鮭釣りを何年か前にやりました。

その時の話です。
キャンプ場にキャラバンを基地として毎日毎日鮭釣りをしたのです。毎朝4時に起きて川に向かい一旦戻って昼寝をして又夕方川に向かう。
臭い川のそばに立ち何とか一匹の鮭を釣ってやろうと頑張ったのです。
釣り方は簡単で鱒釣りのように奥は深くなく、ただ川に仕掛けを投げ込みゆっくりと底近くを引くだけ、そんなに遠くに投げる必要も無く単純に掘り込むと言った方が良いくらい単純な退屈な釣りである。
今にもこんな面白くない臭い川の釣りはイヤだと逃げて帰りたくなるような釣りである。

魚は川にいるか?と言うと、満ち潮と共に河口にたむろする鮭やカハワイ、シーラントラウトが川に入ってきて、河口で体を真水に慣らし鮭は上流に上り、カハワイは海に帰る、シーラントラウトは河口でウロウロしておりたまに上流に産卵遡上する。
魚たちは足元の流れに沿って上流に上って行くため釣り人は遠くに仕掛けを投げる必要が無く、何の腕も要求されない釣りである。

何十人もの人達が河口近くに陣取り釣りをする中で私達も一緒に立ち、見よう見まねで釣りをする。簡単に釣れないことが判っていたので最初私は鱒釣りの仕掛けを用い難しい釣り方で挑戦したのです。
地元の人達がやっている方法を真似するのが先ずは早道であるのだが、あまりにも単純な釣りなので、へそ曲がりな私は自分なりの釣りをしたのです。
100人近くのつり人が誰も釣れないなか、鱒釣りのフライ竿で鮭を狙っていた私の竿に偶然鮭が掛かったのです。が、掛かったは良いが釣り上がるか?と言う問題がある。「ビギナーズラックである」鱒釣りは慣れていたので鱒釣りのように釣り上げようとしたのだが鮭は鱒とは違い力強く大きい。
突然大きくジャンプして暴れ出し一回目のジャンプは何とか乗り越えたのだが二回目のジャンプで針を外され逃げられてしまった。

周りの人達の応援にも関わらず簡単に逃がしてしまった為みんなに冷たい目で見られてしまったが、簡単には釣れない鮭を掛けたため仕掛けは何を使ったのだとみんなに聞かれたものだった。
それ以来二ヶ月近く鮭は釣れない。たまにシーラントラウトやカハワイは釣れるのだが、鮭は釣れない。それでも毎日毎日川に向かい釣りをする。

毎日のように鮭は川に入ってきますので鮭を見る事は見られるが、ある時、何時ものように目の前の流れの中に浮かんだり沈んだりしながら真水に慣れようとする鮭がずーっと一箇所に留まっている姿を見つけたので仕掛けを投げるが、ゆっくり引いても早く引いてもどんなにやっても鮭は針に掛からない。

1メーター前後のイルカのような鮭が目の前に浮かんだり沈んだりしている。個体差も有るが少したってからおもむろに上流に上って行く。そのためしばらくの間目の前数メーターのところに鮭がいるのだ。

この鮭を必死で釣ろうと仕掛けを投げ込むのだが鮭は知らん顔をするので釣れない。

この鮭の上る川は上流で雨が降ると河口が晴れて居ても川は氾濫するし勿論河口で雨が降ると川は氾濫する。こんな日でも川に向かいみんなが釣りにならないと言っても釣りをしていた。
鱒釣りで覚えた川が氾濫して居ても魚は濁流と清流が合流する境目に漂っていたりする事を知っており、他の釣り人がいない為以外に良い釣りが出来るものである。

こんな釣れない日を毎日送っており、我々だけが釣れないのか?と地元の人達に聞くと、「鮭は毎日7匹ぐらい川に戻ってくる」と言う。平均100人ぐらい釣りをしている中一日一匹ぐらいの確率で釣れるらしい。
それも地元の鮭釣りを知り尽くした人達である。「地元の人でワンシーズン(4ヶ月)に二匹釣れると良い方だ」と言うそのぐらい釣れない釣りである。

このぐらい釣れない鮭ならば何とか釣ってやろうと燃えるのが我々変人の考えである。
そこで又毎日毎日釣れない釣りをするのだがやはり釣れない。さすがに諦めかけた私が今日はもうやめようと女房に言うと女房は「もう少し待って、もう少し経ったらきっと鮭はここを通る」と言うのです。
仕方なく又つまらない単純な釣りを続ける。するとどうしたことでしょう、突然本当に鮭が本当に掛かったのです。二ヶ月で二匹目の鮭が。
針掛りした鮭はファーストランで川の中に逃げ込む、その鮭を今度は逃がすものかとたくみに鮭の顔を上流に向け、川に流れ込む小川に導きその土手に上手く誘導して土手に引き上げたのです。これは感激でした。

後で女房に何故鮭がこの時間にここを通るのかと聞いたところ、女房は毎日毎日釣りをしていて鮭が海から河口に入り上流に上りだし、「自分達の前を通り過ぎるのがこの時間だ」と毎日計算していたと言うことです。
このように魚の行動を考える事が魚を釣り上げることより釣りの面白さである事を女房は悟ったのです。

もう一つこの釣りで感激した事は、こんな汚い川で単純な鮭釣りでも鮭が産卵遡上に上る姿が見られるのです。川の水が少なくなり鮭が少なくなっているのですが流れに沿って遡上する鮭が間違って浅瀬にぶつかった時、鮭はバックが出来ないので浅瀬を必死に上って行く、もし足元を上っているならば飛びついて手づかみできそうな位、ほとんどからだ全体を出して浅瀬を上ってゆく。
この浅瀬を上る鮭に朝日が反射して巨大な銀色のルアーが川を上って行くような素晴らしい光景である。これは一見の価値がある。

ちなみにこの川の魚の味は 「クサイ」、さすがに、し尿で育った魚だ。

又この川に鮭釣りに行きたいとは思わないのですがこの産卵遡上のギラギラと輝く鮭の姿は又見たいと思っています。

今の夢は、カタマランが完成したら又アラスカに行って今度は河口近くでキングサーモンを釣り上げたい。

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