Thursday, May 08, 2008

 

夢の楽園

今造っているカタマランが出来たらヨットに移り住みこれからの老後をどうして過そうか?と毎日のように考えているのです。
私が何故か憧れている生活は狩猟採集です。
毎日働き食い扶持を稼ぎスーパーで食糧を買って生活する。この様な生活を止め、自然の中から食材を得てそれを食べる。畑を耕し作物を得る生活ではなく自然から得たいのです。

作物を作る生活は結構厳しい労働を伴い、時期によって取れる作物は同じ物ばかりなので結局小規模でやってゆくには、取れた野菜を売りスーパーで買い物をするような生活になってしまう。
今の時代工業製品は有り余るほど手に入れることが出来、必要とするから買っているけど、半分娯楽としてショッピングしているような生活になっている。私の生活を見直してそう思う。

ヨットで生活をするようになったら、このような俗人的な生活から離れもっと憧れの狩猟採集の生活がしたいと望んでいる。
現実にはまだまだスーパーやディスカウントストアーのお世話にならないといけないとは思うが、今よりパーセンテージを落としたいと願う。

以前、フランス領ポリネシアの小さな島をヨットで訪れた事があります。サンゴ礁の島に椰子を植えただけの島で、管理人兼酋長?のようなミッシェルと下働きの夫婦が普段はいるだけ。我々が訪れた時は流れ者の二組のカップルが加わっており、合計7人の島民が生活していた。
この島には一ヵ月に一回ほど漁船が、この島で獲れる魚やロブスターを買い付けに来る。これらはタヒチの観光客に売られるそうだ。

初めての南太平洋での秘境の島の事、チャートも無くサンゴ礁の島の外でどうしたら中に入れるのかと二日ぐらい揺られて思案していると、島民が小さなボートでやってきて今なら中に入れると誘導してくれやっと入れたのです。
揺れる外洋で過した何日間から静かなサンゴ礁の中に入ると、其処は夢の国のように水は澄み大きなサンゴの塊の合間に白い砂が敷き詰められ、鮫の子供達が集団で回遊している様な島だった。

この島には何人かの人々が生活してゆくには不自由が無いぐらい自然からの恵みがある。
ミッシェルに連れられ島を案内してもらう。ミッシェルは突然椰子の林の根元にかがみ、そこに巣くっている海鳥を追い出しその巣から卵を取り出す。
海水にその卵を浸けて沈む卵だけを集め、浮く卵は雛が孵る前なので海鳥の巣に戻す。卵は今日の食事にするのだと言う。

椰子の林に踏み入ると若木をマチュテで切り倒し皮を剥き器用に椰子の木の「白いしん」を取り出し、『かじれ』と言って渡してくれる。みずみずしくかすかに椰子の香りがした大変美味い南国のサラダだった。
椰子の木の根っ子に穴がありその穴を棒で突付いて行くとミッシェルが『ここにいる』と言う。其処はヤシガニの寝床で夜活躍するヤシガニが昼間は寝ている。細い棒を突っ込むとヤシガニが「うるさい」とその棒をつかむため引っ張り出すことが出来る。
紫色のような色をしたヤシガニが出てきた。大きな爪に挟まれ無いように椰子の葉で縛って持ち帰る。ヤシガニは湯がくと赤い色に変りこくのある大変美味いロブスターと言った味だった。

島民の誕生日があった時島で獲れる獲物が総て集まった。一番大きな獲物は海亀だろう。海亀を裏返して解体し、バーべキューにする。山ほどの肉が取れる。バーベキューに向かない部位は煮込みにされた。海亀の煮込みは、以前小笠原でも食べた事が有るが、やはりこれはチョッと私の口には合わなかった。
海亀は、世界七大珍味の一つと言われている。
海鳥のバーベキューもあった。いつも卵を採る海鳥を今日は料理したのだ。これもなかなか美味かった。たれを何もつけて居なかったように思うが生の味がして旨かったのだろう。
無論、島で獲れる魚もある。これはチキンのような味がする。島のサンゴ礁の浅瀬にいる。平たい口のとんがった魚だった。タヒチの海は何故か汚れており魚が食べられない。
こんなことを知らない時、モーレヤ島で魚を獲り食べて烈しい腹痛に襲われひどい目にあった経験があり、タヒチの魚は食傷気味だったのだが、ここの魚は味があり身のしまった魚だった。この魚をタヒチの漁船が買いに来るのだ。

勿論ロブスターもたくさんいる。慣れた島民ならば簡単に摑まえる。タヒチの漁船が買いに来る前の日にミッシェルと獲りに行った事がある。夜にサンゴ礁から餌を求めて現れるロブスターにライトを当て見つけたところを足で軽く押さえつける。我々は夜のサンゴ礁をこわごわ歩くだけでやっとなのにミッシェルはどんどんロブスターを摑まえて麻袋に入れてゆく。

サンゴの島には赤目金時のような魚がいっぱいいる。これは昼間島民が潜ってヤスで突く。突いた魚の血をかぎつけてやってくる鮫たちをヤスの棒で追い返しながら魚を突いてゆく。島民は慣れたもので鮫など恐れていない。
サンゴ礁の海に住む鮫は背中のヒレ先が黒い鮫でこの鮫はめったに人を襲わないらしいがやはり大きな鮫に変わりはなく、我々は恐る恐る眺めているだけで島民の真似をする気持ちになれない。

海亀もサンゴの島に産卵にやってくる。卵はあまり採らないと言っていたが特別な日には海亀を食べるのだ。島の入り口近くにやってきた海亀を小船から飛びつき捕まえ縛り、食べる日まで飼って置く。
そう言えば、何かの塩辛らしき物もあった。珍しいので食べてみようとしたら強烈な鼻を突く臭いがした。島民が笑いながら『食べない方がいい』と言うので食べなかったが、あれは何だったのだろう。

日常品は結構何でもこの島の裏側に流れ着きこれを上手く使っている。自然から取れる食料は豊富と言っても限られており、小数の島民ならば不自由無いのだが乱獲したり自然を壊すと簡単に無くなってしまうと島民も心得ていた。

こんな生活がこのニュージーランドでも出来そうだと私は思っている。この国の多くの人達は、今、先進国に追いつけ追い越せと「物に溢れた豊かさ」を追い求めており、自分達の直ぐ近くにある「自然が与える豊かさ」に目を向けずにいるのでこれは穴場ではないか?と思っているのです。
きっと幸せは無くさないと気がつかないのでしょうね。

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